栃木県の日光市今市文化会館に行ってきました。
設計は栃木県を代表する建築家、神谷五男氏。丹下健三門下生らしいです。
倉方 俊輔氏の著書、ドコノモンにも紹介され、表紙にも使われています。
最寄り駅は日光駅から東、宇都宮方向に一駅の今市駅。ほとんど田んぼと民家しかないような田舎道に突如現れる巨大なコンクリートの量塊はかなり異様です。
最大の特徴はなんといっても正面の上昇する甲板のような屋根です。
正面から見るとより船っぽく見えます。
一方、側面から見ると複雑な階段とガラスの重なりが歯のように見え、口を開けたクジラのように見えてきます。
コンクリートは安藤忠雄以前の荒々しい表面ながら、ガラスのパターンはかなり複雑です。
師匠の丹下氏も香川県に似たような船型の建物を設計しています。
丹下氏が構造に裏打ちされた端正な造形美を見せているのに対し、こちらはよく言えば表現主義。悪く言えばイカモノ。
これが世界のタンゲと地元栃木の建築家、神谷氏の違いなのかもしれません。
この船だの、クジラだの、恐竜だののイメージをことごとく裏切っているのが、背後の突起物です。
目玉のように建物左右2か所に飛び出しています。用途は吸気塔とのことですが、建物の規模に対してどう考えても巨大すぎます。
この目玉によって本建築はただのポストモダン建築からもっと訳の分からないものに変化しました。
いってみれば岡本太郎氏の太陽の塔のように、それでしかないモノに進化した印象です。
造形ばかりに目が行きますが・・・
表面の何種類にも使い分けられた仕上げにも注目です。
おそらくコンクリの配合を変えるとともに、左官さんにも色々注文を変えたのだと思われます。
ちなみに公演を観る人以外は1階のトイレぐらいまでしか入れません。
平面図にしてもキャラが立っています。
空中回廊で結ばれた奥の建物とも調和がとれていました。
ほとんど外観しか見れませんが、それでも飽きが来ないパワーを持っており、この建物が大切にされるのも分かります。
彫刻的な建築の方が壊されにくいのかも?芸術っぽいし。★★