東京都庭園美術館(白金)の「装飾は流転する」《2017年11月18日(土)から2018年2月25日(日)》を見てきました。
これはド直球の展覧会ですね。言ってしまえば「庭園美術館なんてゴテゴテした装飾じゃないか」という批判を正面から受け止めているように感じます。
早速入り口脇には山縣良和さんの作品が。ただでさえ主張の強い空間にさらに劇薬をぶちまけようという無謀っぷりに期待が高まります。
1階はまずベルギーの作家ヴィム・デルヴォワさんの作品。彼は日本ではヨコハマトリエンナーレ2014で巨大トレーラーを発表した以外は国内での紹介はこれまでなく、今回初めてまとまった紹介です。
オウムガイの先端が教会の尖塔のようになっています。
建物が縦に引き伸ばされて螺旋を描き、スピード感に溢れています。デザインするのめっちゃ楽しそうですね。
ヨコハマトリエンナーレ2014出品作のスケールダウンモデルです。
内側も作り込まれていて、レイヤーの重ね合わせが楽しいです。現実の建物はこうはいきませんからね。
こちらはタイヤを彫刻した作品。
タイヤといえば、日本には美術とも関係の深いブリジストンがありますね。喜んで買いそうです。
その奥の部屋はオランダの作家、ニンケ・コスターの作品があります。パッと見メロンみたいな形ですが、丸い部分が日本、扇形は長崎の出島をイメージしたそうです。
写真ではまったく伝わりませんが、実はこれはシリコン製で座ることができます。
確かに庭園美術館は家なのにほとんどの家具は撤去されてしまっているので、部屋のど真ん中に椅子を置くというのは正しい選択かも。これで天井のシャンデリアもゆっくり見れます。
新館にもコスターさんのシリコン椅子があります。色んな建築様式を表しています。
2階に上がったとたんに神様のファッションショーがお出迎え
人の背丈以上の5人の神様は、裁断前のロール状態の布をぐるぐる身体に巻き付けています。手に持っているのはそのロールの芯です。
2階の部屋の多くは山縣さんのファッションショーと化していました。山縣さんのことは全く知りませんでしたが、その前衛性はイッセイミヤケやコムデギャルソンに匹敵しますね。
中でも「見世物」としてハイレベルだったのがこちら
「七服神」というタイトルですが、実際には古今東西の土産物、おもちゃ、縁起物がごちゃ混ぜになって屋上屋の祝祭を形成しています。
学芸員さんは上記の「神々のファッションショー」を「ファストファッション」と表現してましたが、山縣さんのデザインはイッセイミヤケなどにはない「ファッションなんてこんなもの」という開き直りや開けっぴろげさが見えて好感が持てます。
「装飾」と展覧会に掲げていますが、実際には展覧会全体も見世物的楽しさに溢れています。ナンコレ度★★