2017年10月9日まで開催していた池田学展 The Penー凝縮の宇宙ーを観てきました。
会場は新作「誕生」以外は撮影禁止でした。
池田氏は細密画として語られることが多いですが、絵画からはむしろ物語性と大画面をまとめる構成力をを感じました。
新作「誕生」でも3年の製作期間中に起こった震災が取り込まれていますが、瓦礫におもちゃや遊園地の遊具などカラフルなモチーフが多く含まれていたり、
飛行機がドーナツ状や螺旋状に輪切りになっていたりと、
震災の悲劇よりも作者の天性の陽性さが画面からは感じられました。
また気になったのは木彫りの仏像です。
思い出したのが円空の仏像です。
江戸時代の仏師、円空は木っ端から即席の仏像を生涯12万体も作って大衆の救済としたと言われています。今回の震災で信仰の力というのをほとんど感じなかったに今更ながら気づきました。
ところで池田氏は作品制作と並行して山登りやスキーなどアウトドアスポーツをかなり本格的にやると聞きました。絵画からもたとえ人工物を描いていても山の形を強く感じる作品が多かったです。
「興亡史」部分
重層的に物語が折り重なり、画面の色んな所で同時多発的にイベントが起きているようです。SDゲームの世界のような非現実的な空間です。
マリオ64「バッタンキングのとりで」
空間同士の繋がりは安土桃山時代の合戦屏風との関連を感じます。こちらは絵の間の雲が時間と空間の断絶を表していました。
「関ケ原の戦い」
池田氏の作品ではこの雲は果たした役割を植物や雪など様々なもので自然に代用しているのが印象的でした。
「予兆」部分
見れば見るほど発見がある作品の数々ですが、日本ではまとめて見れる機会がほとんどないのが残念です。★★★★