リンダ・ホーグランド監督の「ANPO」を見ました。

監督は日本生まれのアメリカ人。アーティストから見たアメリカと太平洋戦争についてのドキュメンタリーです。

この映画、政治的主張としては全く共感できる点はありませんでした。

「ANPO」より岸信介

作中で何度も岸信介(安保条約改正時の首相)元首相の個人的な憎悪が口にされ、岸氏とアメリカとの裏取引(岸をアメリカが支援する代わり、岸はアメリカの政策に賛成する)の噂を紹介する一方で、タイトルにもなっている「安保」がどういう条約であるのか、まったく紹介していない。延々と反対闘争の映像を流しながら、その反対の対象が何であるか一切説明しない。これはある意味驚異的です。この「岸」を「安倍」に入れ替えれば、そのまま現在の反安倍、反改憲闘争に使えます。

「ANPO」より横尾忠則

アーティストのインタビューはある程度幅広く行われています。横尾忠則氏の安保闘争に対する日和見的態度が印象的でした。

 

「ANPO」より中村宏

紹介される作品は非常に面白いものが多かったです。中村宏、池田龍雄氏などの作品はなかなかまとめてみる機会がないので、これをインタビューを交えて見れるのは貴重な機会です。

本人も言っている通り、中村さんの作品は安保闘争が盛り上がっているときのものが最も面白いと思います。駐日米軍を直接的に扱っていながらどこかユーモラスに見えるのが魅力です。

題材としては他に米兵の妾になった日本人女性について、多く扱われていました。

若手の作品では風間サチ子さんの作品が出色でした。巣鴨プリズン跡にサンシャイン60が建ったことが着想元になっています。彼女の作品はなぜか具体的な現代建物が登場することが多く、非戦争体験世代であることを想起させます。

あとは岸氏だけでなく、様々な政治家が絵に登場するのも現代ではない特徴です。画家たちは彼ら政治家を負の象徴として描いたのでしょうが、狂的な目で見るとどこかユーモラスに感じます。

 

主張はともかく、反戦、反米芸術展としては結構見ごたえがありました。