(新建築より)

今回は千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館に注目してみたいと思います。

この美術館は印刷インキの世界トップメーカーDIC株式会社(旧・大日本インキ化学工業株式会社)の私設美術館です。

周りには広大な公園があり、社員の保養地を兼ねるとともに、市民にも広く公開されています。国内の企業美術館としては最大手だと思います。

 

設計は海老原一郎氏。DICの本社ビルも設計しています。

美術館中庭

外観はワインセラーを思わせるオーソドックスな建物です。

(新建築より)

(新建築より)

空間の最大の特徴はエントランスでしょう。巨大な2つの天井照明は2代の社長を称える意味があるそうです。

(新建築より)

展示室もオーソドックスです。特に2階は天井も高く、大きな作品の多いアメリカ現代美術の展示に適しています。

(新建築より)1,2階平面図

動線計画も中庭をぐるっと回るというヒネリのないものです。

 

レンブラント『広つば帽を被った男』

ルノワール『水浴する女』

モネ『睡蓮』

このような王道一直線な設計になった要因は、DICがコレクションに自信があったからだと思われます。レイブラント、ルノワール、モネ日本人の多くが気軽に親しめる作品であり、これらをいつ来ても見れるというはライトなアートファンにとっては大きな魅力です。

ジョージ・シガール「ガートルード」

マックス・エルンスト「入る、出る」

フランク・ステラの作品群

のみならず、DICは大量に集めたアメリカ現代美術コレクションについても美術的価値を追求するとともに、分かりやすい作品を中心に収集されています。

ロスコ・ルーム

また2階の企画展もアメリカ現代美術の豊穣さが分かる、毎回全く違う作品群が見れます。世界的に見てもレベルの高い作品群が集まっており、DICの底力と先見の明が分かります。DICはこれらの作品群を集めてから、ゆっくりと美術館の設計を始めました。予め展示する作品が決まっていたからこそ、ムダがなくかつ余裕ある美術館ができたようです。

 

鉄板の常設展と驚きに満ちた企画展。この組み合わせは今後も安定して続いていきそうです。