2018年12月14日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

巨大建築の本当の活用法「東京国際フォーラム開館20周年特別写真展 新たな船出」

東京国際フォーラムの「開館20周年特別写真展 新たな船出」(2017/12/8-12/26)を見てきました。

ちなみに上記のSF的なポスターは銀河鉄道999松本零士さんデザインです。

 

東京国際フォーラムは東京都庁が新宿に移転するに伴い、その跡地の活用して建設されました。

フォーラム入口に太田道灌の銅像が唐突にあるのは、都庁からの引継ぎです。

旧都庁も詳しく紹介されていました。旧都庁も新と同じく丹下健三設計です。

1階には岡本太郎の巨大タイル画が展示されていました。

丹下健三「香川県庁舎」タイル画は猪熊弦一郎

どことなく同じ丹下さん設計の香川県庁舎を髣髴させます。

都庁跡地に国際フォーラムに建て替えられたことを実感する一枚。

 

 

竣工時はバブル崩壊後だっただけに同時期の

菊竹清則設計の東京都江戸博物館(1993年)

TAK建築・都市計画研究所 設計の東京都現代美術館(1995年)

佐藤総合計画 設計の東京国際展示場(東京ビックサイト)(1995年)とともに、東京四大無駄建築として叩かれました。

4つのうち、3つまでが浮遊感を強調した設計で、その下の活用法も不明確でした。建築家と構造家の遊びに税金が使われた印象もあります。

特に江戸都東京博物館はかつてメタボリズムで軽やかに未来を語った菊竹さんがこんな鈍重な建物を建てたことの失望が広がりました。

ロイ・リキテンシュタイン「ヘアリボンの女」

また、東京都現代美術館は周囲に何もない辺鄙なところに建てることに加え、ロイ・リキテンシュタインの漫画のような絵を大金をはたいて購入したことも批判されました。

ただ、これらの建物が20年以上経って、現在も周辺施設も含めて十分活用されていることは、当時の建築家の先進性を示すとともに、それだけ東京の成長のポテンシャルがあったともいえます。

 

さて、東京国際フォーラムといえば、最大の特徴は何といってもこの巨大なオープンスペースです。この船をイメージしたアクロバティックな構造はライトアップされているため山手線からはよく観察できます。そしてこの空間こそが同建築が「ムダ!」と叩かれる要因にもなっています。

設計者のウルグアイ出身の建築家ラファエル・ヴィニオリのインタヴュー動画を見てみましょう。

ヴィニオリは世界中で巨大建築を建てています。研究関連施設が多いのですが、それ以外にも高層マンション、美術館、空港まで設計しています。

意外だったのは、ヴィニオリがこれらの建築でもっとも気にかけているのは、人々の自由な移動、動線についてでした。人々の自然な動線に沿って設計しているため、建物の形態は有機的でユニークになるというのです。確かにこの日もフォーラムの広場で骨董市をやっており、十分活用されているようです。

またこの日は東京ー有楽町駅間のKITEE 、TOKIA、東京国際フォーラム3つの建物を通り抜けながら見れる、熊本地震のチャリティー展示も行っていました。

畑秀樹”One man’s trash is another man’s treasure.”

 

このようなビルを通路として活用する発想も、国際フォーラムがあればこそ。意外にもウルグアイの異邦人は、黒川紀章さんも提唱していた日本人の「道の思想」を会得していたのです。

 

展示は他にカメラ女子の写真展もやってました。国際フォーラムがこんなに可愛くなるとは・・・カメラ女子恐るべし。

コメント一覧

★★建築図鑑⑮可能性に満ちた菊竹氏最後のメタボリズム「江戸東京博物館」 – 博司のナンコレ美術体験2018年1月2日 11:18 PM / 返信

[…] この建築は東京国際フォーラム、東京ビックサイト、東京都現代美術館とともに4大ムダ建築といわれた建物です。その要因は巨大さ、茫洋としたデザイン、ムダに持ち上がった建物といったところでしょうか。 […]

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