那須町の北温泉旅館に行ってきました。
北温泉は那須温泉の一部ではありますが、同地には旅館は昔から一軒しかなく、昔から独占状態のようです。
その場所は温泉街からかなり山を登り、さらに別の谷に降りるというへき地です。
温泉へ行くための駐車場は駒止の滝を見るスポットであるため、一応旅館に行く人以外も利用するようです。
駐車場からは徒歩でかなり坂を降りなくてはなりません。
館内に入ると渡される地図。そして部屋まで旅館の御主人に案内されます。
地図を見ても到底部屋までたどり着けない複雑さです。
松の間、竹の間、梅の間はそれぞれ江戸、明治、昭和に作られたとされており、当然断然面白いのは江戸に作られた松の間です。
宮田 珠己氏の名著、四次元温泉日記でも紹介されていたのが・・・
天狗の湯という、天狗の巨大な面が壁についているという不気味な温泉です。
この温泉も殺風景極まりないのですが、それ以上に宮田氏の著書で気になっていたのは、廊下→暖簾→脱衣所→温泉の順で廊下が脱衣所と書かれた部分でした。
実際見てみると、各居室や洗面所、共同トイレ(基本居室にトイレはないようです)が並ぶ廊下と温泉は申し訳程度の暖簾があるだけでほとんどシームレスに繋がっています。
しかも廊下の右に脱衣所、左に温泉となっているため実際には廊下→暖簾→脱衣所または温泉という感じで、全裸のオヤジが廊下を歩いていても全く不思議ではない空間でした。
宮田氏の著書には書かれていなかったのですが、このような廊下直温泉のような作りになっているのは温泉を暖房として利用しているからではないでしょうか?
この旅館は温泉の泉源と川の間に作られ、豊富に沸くお湯を温泉をはじめとした各種サービスに利用した後そのまま川に流すというもの。
そのためか温泉には石鹸やシャンプー(バスタオルも)は備え付けてありません。
そう考えたのが写真の廊下部分。写真中央の溝部分は底が川になっており、温泉が垂れ流されています。
この旅館内川の左側はどうみても元外壁であり、増築したことが一目で分かります。
この廊下に囲まれた部屋も昔は居室として利用していたようです。
同じく宮田氏の著書でも紹介されていた5差路。
左がロビー、手前が図書室、奥がスタッフ専用部屋に通じます。
分かりにくいですが右に道が2つあり、奥側が温泉、手前側が私が止まった部屋に(手前側の空間)に通じています。
居室はロビーの真上に当たるとか。
同じく5差路を反対側から撮ったところです。
下が図書室ですが、公衆電話(携帯電話が通じないので)が置かれています。
上が居室です。
壁にはこの写真のように各所に古い民具が飾られています。
ロビー上に鎮座する旅館内神社。
売店に絵馬も売っていました。
神社からロビー側。天井に架かる案内板も風情があります。
旅館に戦勝とありますが、廊下にも年代物の歴代将軍のポスターが。
野外にも旅館最上部に鬼子母神があり、そちらから見た景色。
写真左が川になっています。
入れない建物も見え、スタッフルームと思われます。
こちらは下から撮った写真。屋外の温泉プールが見えます。
この辺りがおそらく明治の竹の間。食堂は稼動していないようです。
江戸、明治に比べて非常に殺風景な昭和の梅の間。
新しいほど撒布系というのは麻吉旅館を彷彿させます。
館内は猫が自在に出入りしていました。
屋根で日向ぼっこする猫。非常に人懐っこいです。
昔の建物は狭くて暗く、その上温泉と廊下が繋がってるし、非常にカルチャーショックを受ける斬新な温泉でした。★★★