• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★小企画だが並々ならぬ説得力「クマの場所」

サニーヒルズ南青山の「クマの場所」【3月20日(火)から5月6日(日)】を見てきました。

この建物は新国立競技場の設計者である隈研吾さんの作品です。台湾のパイナップルケーキを販売するお店の日本支社兼店舗です。

本来は展示スペースなどないのですが、踊り場などわずかなスペースを用いて隈氏の水彩画とパネルを展示しています。

隈氏自身が塔よりも洞窟を好むという解説がありました。国立競技場の高さを極力抑えたこととも関係あるのでしょうか?

また現在の設計のしごとの原点が、幼少期に過ごした家や周囲の環境にあることを明らかにしています。

特に縁側の空間は後の那珂川町馬頭広重美術館や根津美術館に生かされています。

 

サニーヒルズについても言及がありました。パイナップルをイメージしているとのこと。

たしかに上部には申し訳程度に植物が植えてあります。

 

また重要なのが、現在建設中の国立競技場への言及。このサニーヒルズは細い木材が集まって構造を為していますが、競技場もやはり細い規格品の木材が重要な役割を果たします。

内部を回って見ると、なぜあえて隈氏がここを展示会場に選んだのかよく分かります。まったく規模は異なりますが、国立競技場とサニーヒルズは大きな共通点があり、また洞窟や縁側といった隈氏の原点であるキーワードもともに含まれているのです。

 

東京ステーションギャラリーの展示は隈氏の広範な興味を知ることができますが、こちらの展示はより重要なエッセンスが含まれていると感じました。★★

コメント一覧

★建築図鑑50 開かれた大学博物館へ「東京農業大学「食と農」の博物館」 – 博司のナンコレ美術体験2023年1月6日 10:15 AM / 返信

[…] 設計は隈研吾氏。木の建築家と思われがちですが、本作は都内では珍しい石の建築です。 […]

★建築図鑑50 開かれた大学博物館へ「東京農業大学「食と農」の博物館」 – 博司のナンコレ美術体験 にコメントする コメントをキャンセル