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建築図鑑104建物は消えたけれど・・・「くにたち郷土文化館」

東京都国立市のくにたち郷土文化館に行ってきました。

設計は石井和紘氏。あまり大きな作品はないのですが、香川県の直島小学校や役所を作り、直島を建築の島にした始めの人です。

 

周囲は2階建て以下の民家や田畑が広がり、低層のマンションや団地すらない場所。すぐ近くに駅やコンビニ、高速道路があるとはいえ、日本の田園風景がかなり残っている場所です。

そのため建物の主要な部分を地下に埋め、地上階には休憩室と荷解きスペースのみを置くというかなり極端な設計になっています。

その休憩室も民家がある方に建て、民家の屋根と同じ高さに揃える徹底ぶりです。

そんな文化館の最大の特徴がこの透明性の高い廊下です。

左はブラインドが下りてますが、それでもほとんど柱とガラスしかない部屋は面白いです。

右が休憩室兼ショップ、奥が地下への階段になっています。

窓に貼られた鳥のシルエット。実際こんな建物だと鳥が激突してくるかも。

床には国立市の昔の写真が収められています。

建物は敷地に斜めに廊下を通し、地下に転じ、収蔵、研究の主要な施設を収めています。

地下の廊下の様子。

階段も透明性が高いです。

惜しむらくは展示や活用法にあまり見るべきものがないことです。

郷土館とは地域の歴史と自然を紹介するものなのでしょうが、普通の考古資料館とあまり変わりません。

国立の起伏のある地形と植生や生き物を紹介しているコーナーがちょっと面白いくらいです。

地下に直接アクセスできる階段部分や広場はかなりのスペースがあります。しかし展示も植生も少なく、あまり活用されている感じはしませんでした。

イベント時だけは賑わう可能性はありますが・・・

 

竣工は1994年。いわゆるハコモノがポンポン建ってた時期です。

その時期の建物にしてはキレイに保たれているのはいいことかもしれませんが、建設費や維持費をかけるだけ価値を生み出したかは疑問な活用法です。

ガラスと野外スペースはもっと活用できると思います。

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