藤沢市アートスペースの「毛利悠子 グレイ スカイズ」(2017/12/2-2018/1/28)を見てきました。
藤沢市アートスペースは経堂駅から徒歩5分ほどの複合施設 「ココテラス湘南」の6階に入居する小さな展示場です。
ちなみに上の7階は藤沢市 藤澤浮世絵館になっています。両方とも入場無料です。
毛利悠子さんは藤沢市出身の芸術家。ここ数年は海外の美術館で滞在製作したり、森美術館の六本木クロッシングで冒頭に紹介されたりして活躍が目覚ましいです。
その一方でその作風は既存物の組み合わせて最低限の加工で作品を作るというもので、正直僕はその「現代のもの派」的なコンセプト重視の作風には全く親しみは覚えませんでした。
なので今回の展示もまた難解な作品化と恐々見に行ったのですが・・・
冒頭の展示はビールジョッキに波打ち際の映像を流すという、人をくった見立ての作品。
湘南の爽やかさを凝縮した楽しい作品です。
カーテンに囲われたアヤシゲなサーカスのテントみたいな廊下を奥に進むと・・・
ついたり消えたりする照明に彩られた謎の作品群が!
これらのモノたちは廃校になった学校から毛利さんが譲り受けたもの。
回転する金属たわしが奏でる微細な音楽を背後の拡声器が増幅しています。
身長計の上に鉄琴を乗せただけのオブジェ。マルセル・デュシャンなみのかっこよさです。
オブジェの動作はこちらのスキャナーで制御しています。花の絵のパターンを
読み取りオンオフが切り替わります。 一種のハイテクオルゴールですね。
これだけでもお腹いっぱいなのですが・・・
みたいな感じで隣の部屋には全く別の作品が展開してます。
これだけだとなんのことか全く意味不明ですが・・・
毛利さんは鉄道駅における漏水対策の仮設造作物の数々に駅員さんによる「用の美」を見出し、ワークショップで共同制作したものを展示しました。
使われているのものはビニールシート、ホース、ガムテープ、バケツなど日常的で安価に手に入るものばかりです。
かなり大きな作品もあります。最小限の力でもって水が循環している点も注目です。
水の力だけでいかに多様な動きや音を出すかが腕の見せ所です。
毛利さんの作品は難しいと思っていましたが、意外にも東洋と西洋、土着性と普遍性、ハイテクとローテク、具象と抽象などアートの枠組みを軽やかに越えて誰もが楽しめる作品を実現してくれるアーティストだと分かりました。ナンコレ度★★★
2017年展覧会ベスト10 – 博司のナンコレ美術体験2017年12月29日 3:17 PM /
[…] 9位 毛利悠子 グレイ スカイズ […]