• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

ニュータウンと団地の研究(書評)

雑誌の特集とは思えないマニアックな内容です。というか研究家やランドスケープアーティストの言葉がたいしてかみ砕かれずそのまま載っており、図版もそのままのことが多いので、読む(見る)のに苦労します。

 

表紙は「グリーンヒル貝取」です。これは自然地形である斜面を極力いじらず、そのまま地形と自然を残して立てた集合住宅の恒例です。

中身でも斜面の規模、角度によって様々な斜面住居が建てられたことを写真とともに紹介しています。

公園整備もそうですが、初期の人工的な開発型のニュータウン造成から、後期の自然を極力生かした開発まで色々な都市開発のノウハウが一か所で味わえるのが多摩ニュータウンの魅力だとしています。この自然を残す方針が最終的に多摩丘陵の尾根伝いの古代の道を再現するよこやまの道整備に結実します。

 

富士山が見える宝野公園やニュータウンが見下ろせる鶴牧山など写真が美しく、内容のマニアックさにもかかわらず街歩きに生かせる紙面になっています。

 

 

 

 

 

 

団地愛の詰まった図鑑のような本で、団地の萌えポイントが大量の写真とともに掲載されています。著者の幼少時の体験をもとにしているため、60年代のもう無くなった団地に多くスポットが当たっていますが、それ以降の団地も多数カバー。また著者が多摩地区に住んでいるため、その辺りの団地が多く掲載されているのも同地に住むものとしては嬉しいポイントです。

非常に濃厚な内容です。「団地はどれも同じ」という標準設計の制限を逆手にとって、建物の配置を楽しんだり、巨大団地ができた歴史的条件や立地を楽しむなどマニアックな楽しみ方を提唱しています。

執筆陣が(狭い世界ではありますが)この業界のトップランナーたちなので、東京を飛び越えて全国、世界、またアニメ、映画などに話が確信犯的に及んでいるのが面白いです。ですがそのため「東京を楽しむ」という観点からは少々物足りない気も・・・

コメントを残す