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★★あり得たかもしれない歴史「大洲大作 未完の螺旋」

旧博物館動物園駅(台東区)の「大洲大作 未完の螺旋」【8月10日(土曜)から8月18日(日曜)】に行ってきました。

 

旧博物館動物園駅は京成電鉄の元駅です。

国立博物館、都立美術館、東京藝術大学など上野公園の主要施設の多くが最寄り駅になり、かなり便利そうですが、施設更新にお金がかかるため廃駅になりました。

ただ最近ではその活用が進んでいるようです。

一方大洲大作氏は鉄道にまつわる作品が多く、これほど馴染むコラボレーションも珍しいです。

 

 

大洲大作「螺旋の日々-この夏」

駅の地上に露出した入り口部分は中がドーム屋根になっています。

今回はここに円状に紙が吊り下げられています。

これは鉄道員が使うダイヤグラムという運行計画表です。

新旧の上の周辺の光景が投影されています。

ダイヤグラム=記録ということを強調した作品です。

大洲大作「螺旋の日々-その夏」

地下へ向かう階段上には小さなテーブルが置いてあり、上にネジが置いてあります。

大洲大作「螺旋の日々-その夏」

ネジの横に書かれたメッセージは戦時下を思わせるものです。

大戦末期、ここ旧博物館動物園駅は軍に接収され、司令部として使われていました。

また他の京成電鉄の駅も軍事工場となるなど、国民の生活に戦争が深くかかわる時代でした。

大洲大作「螺旋の日々-その夏」

このメッセージは大洲さんのお父さんの日記から抜粋しています。

お父さんは軍需工場で実際に勤務されていたそうです。

 

大洲大作「螺旋の未完 光のシークエンス 白」

さらに奥の空間では不思議な光を放つ窓枠が。

大洲大作「螺旋の未完 光のシークエンス 赤」

窓枠は実際に電車で使われていたもので、投影される映像も車窓の風景を含みます。

 

大洲大作「螺旋の未完 No SIGNAL -Red」

最奥に設置された最奥の作品です。階下には駅の改札が見えますが、ガラスに阻まれて行くことはできません。

時折電車が通り過ぎる音が会場全体に響きます。

大洲さんの狙いは平行世界のようにあり得たかもしれない過去を描くことでしょうか?

 

これらの作品とは別に、壁に掛かれた落書きがそのまま残っているのは面白く感じました。

作品数は多くないですが、空間全体を演出したインステレーションなので一見の価値ありです。★★

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