阪本順治監督の映画「王手」を見ました。
タイトル通り将棋の映画です。舞台は大阪、というより通天閣です。
この映画、とにかく頻繁に通天閣が登場します。
1つの映画にこれほど1つの建築がしつこく出てくるのも珍しいです。
夜景、屋上などあらゆる角度から通天閣を捉えます。
主人公である真剣師(賭け将棋で生計を立てるアマチュアの将棋指し)飛田歩は通天閣に住んでいるような描写すらあります。
飛田家の郵便ポストが明らかに通天閣の脚に付いています。
後半、飛田が師匠の三田村と通天閣上で354枚の駒を使う「泰将棋」で対戦するシーンは本映画屈指の名場面です。
勝負が白熱しすぎて(?)ついには通天閣の周りが海に。
映画のラストでは通天閣上で最強のプロ、矢倉名人と対決します。
ここでも通天閣が活躍します。
日本海の旅館に遊びに行くシーンが複数ありますが・・・
それ以外は新世界の通天閣周辺だけで話が完結する異色のローカル映画です。
通天閣の足元でのシーンも多用されます。
新世界のゴチャゴチャした商店街のシーンも好きです。
音楽はカッコイイのですが、極端なローカル性や、ボケ役の過剰な投入により、結果としてコメディ映画に仕上がってます。
真面目っぽいミニマムなタイトルに幻惑されていましたが、実際は屈指のバカ映画。
いい意味でこけおどしが効いてます。★★★