映画「宇宙人東京に現わる」を見ました。
上の画像のヒトデ型の宇宙人、パイラ人を岡本太郎氏がデザインしていることで有名な作品です。
このパイラ人は川崎市岡本太郎美術館の「岡本太郎とメディアアート」でも高橋士郎さんによって立体化されています。
この作品、観てみるとストーリー的には見るべきところが意外とないです。➀善玉の宇宙人が人間に変身して地球に潜入する
②巨大隕石が衝突して地球が滅亡
というアイデアは過去作の焼き直しであり、発表当時ですら真新しさがありません。
むしろ隕石の接近に防空頭巾をかぶって地下室に避難という対策が今日的な目で見るとシュールに映ります。
そのような作品なのでパイラ人のデザインは余計目を惹きます。ゴテゴテした飾りを一切廃したクールなデザインは一見岡本太郎さんらしくありません。
太郎さんは水爆や原発についての作品も残していますが、パイラ人のデザインはそれから見ても異例です。絵画をそのまま着ぐるみにできなかっただけかもしれませんが。
むしろパイラ人の宇宙船のデザインや、
宇宙船内の謎のフラフープや照明器具(?)
変身装置などは当時活動していた総合芸術グループ実験工房のデザインの影響を感じます。
実験工房は芸術家や音楽家の集団で、クールで前衛的な作風が特徴です。太郎さんは付き合いのあった実験工房の影響もあって、あのような宇宙人をデザインしたのかもしれません。
にしても民家や劇場などに突然出現するパイラ人の絵は非常にシュールです。もしかしたら、のちのウルトラセブンのメトロン星人などに影響を与えてるかもしれません。ちなみにこのシーンで目の造形がかなり凝っていることも分かります。
パイラ人の宇宙船での会話も見ものです。このあとペンギンみたいにトテトテ歩いていく姿もかわいい。
まとめ:パイラ人一点押しの作品でした!