• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★★「プラータナー:憑依のポートレート」

東京芸術劇場(池袋)で「プラータナー:憑依のポートレート」を見てきました。

上演時間4時間、そしてタイ原作の小説を日本人の脚本、演出でタイ人の役者が演じる、という異色づくめの演劇です。

そのため劇の内容についていけるか不安でしたが、実際には事前の勉強なしでもかなり楽しめる内容でした。

その魅力を分析してみました。

 

1.情報過多

作品の特徴として非常に過剰に情報が詰め込まれていることが挙げられます。

舞台上には巨大な脚立、ベルトコンベア、ビールの入った冷蔵庫、LEDライト内蔵のテープ、オレンジ色の靴、雑多な本やDVDなどものが大量に置かれています。

これらのモノは4時間の中で4回大移動し、ラストシーンではタイの国土を表すような巨大ジオラマを形成します。

さらに舞台背面はスクリーンになっており、字幕が映るとともに舞台上の撮影係が映した映像が大写しになったり、インスタントカメラで撮った写真がベルトコンベア上に設置されたビデオカメラを通してスライドショーとして流されたりします。

 

舞台右側には椅子と机が設置され、音響担当や衣装担当が控えています。

基本的に舞台で演じている人は一度に1~3人程度ですが、その他の役者も舞台の端で「観客役」を演じています。

 

2.多様な解釈

このように劇は役者、字幕、映像、観客役や裏方の身振りなどが同時に進行するという複雑な劇になっています。

また一応原作小説を元にストーリーが展開しますが、途中でタイにおける日本のアダルトビデオの需要状況など、本筋と関係がない小話が挿入されるなど、予測のつかない展開もあります。

 

観客は4時間も続く情報過多の演劇を見る中で、自然と情報を取捨選択せざるを得なくなります。そのことにより物語の解釈も観客にゆだねられることになります。

例えばcontact Gonzo塚原悠也氏の指導が生かされたと思われる、ラスト近くの登場人物の大多数がもみ合うシーンは人によって、タイのデモにも、一匹の巨大な獣にも、タイ王国そのものにも見えます。

 

普通に見ても面白い上、他の劇にない要素が盛りだくさんで「すごいものを見た」という気分になれることは請け合いです。★★★

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