今回は信濃町煉瓦館(設計:清水建設設計本部)に注目してみたいと思います。
裏側は大学病院、道路向かいは創価学会の総本山、横長過ぎ、薄すぎる形状に正面には大穴。煉瓦館というネーミングもあって只者でない雰囲気です。あまりにもキャラが建ち過ぎている建物ですが、機能は意外にも普通のオフィスビルらしいです。単に慶応大学の研究所跡を活用したら高さ制限の関係でこんな形になってしまったようです。
外観の煉瓦は韓国産のホフマン煉瓦というそうです。建物全体も巨大な一枚の煉瓦を思わせます。
巨大な穴はローマン壁体という古代ローマの住居をイメージしたとのこと。
雑誌、新建築より内観です。部分的に煉瓦を使いながらも仲は普通のオフィスです。
裏側も煉瓦が使われていますが、大穴がないのでデザイン的には単調です。映画の撮影とかには使えそうですが。
真横から見るとこんな感じ。壁の印象を強調する演出が徹底しています。もっとも内部はこの意匠とは関係なくめいっぱいオフィス空間が採られています。
ポストモダン建築で中世、近代の様式を用いることは多くとも古代はほとんどなく、しかもそれを普遍的な建築素材である煉瓦で表現するという挑戦的な建物。あまり語られませんが、かなり傑作建築なのではないでしょうか?★