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建築図鑑221ホテルロイヤルクラシック大阪

大阪市のホテルロイヤルクラシック大阪を見てきました。

大阪の難波駅のすぐわきに建つこのホテルは村野藤吾氏の取り壊された大阪新歌舞伎座を隈研吾氏が忠実に再現したものです。

旧・新大阪歌舞伎座は記憶の中にしかなかったのですが、このホテルを見た印象は「なんか違う」。率直に言ってガッカリ感が強かったです。

とはいえ非常にレベルの高い比較サイトを見る限り、隈氏の再現レベルは非常に高いようです。

機能が失われているのかとも思いましたが、歌舞伎座もこの特徴的な連続破風に機能はないし、側面の簡略化も印象を損ねるほどではありません。

結局歌舞伎座の外観も飾りに過ぎないのだから、薄っぺらくなってるということはないはずです。

結局結論としては僕自身が歌舞伎座を理想化して記憶を改ざんしていたということでしょう。

とはいえ、ホテルを見たガッカリ感はこの建物が新旧から変わった最大の箇所、すなわち高層部分にあるのではないでしょうか。

高層部分が付加されたことにより、この建物は周囲の建物と規模感が揃って周囲の建物に溶け込んでしまい、村野デザインは腰巻ビルの飾りとして大阪難波の猥雑な風景に悪い意味で溶け込んでしまったのです。

高層部分がないことで歌舞伎座はかえって巨大感を演出し、連続破風もそれでこそ効果を発揮したのではないでしょうか。

ちなみに屋上の意匠は隈氏オリジナル。高層部分の縦ルーバーは何らかの意図があるのでしょうが、もはや何の目新しさも感じませんでした。

 

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