2018年10月17日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

巨大展覧会の巨大な自己愛「東京藝術大学卒業・修了作品展」

東京都美術館 / 東京藝術大学美術館(上野)東京藝術大学卒業・修了作品展【2018年1月28日(日)-2月3日(土)】を見てきました。

 

この展覧会、とにかくすごい分量です。東京都美術館の過半と藝術大学美術館の全室、さらに教室も大動員し、野外作品も大量にあります。まともに見ると一日がかりです。ではそれに見合った成果はあるかというと・・・まあ玉石混交で満足度はあまりないです。

岡田詩歌「卒制彼氏」

目立とうとしてか、やたら巨大で、広いスペースを占有し、高い機材を使った作品が大量にありました。そういう点だけは国内で別格のエリート芸大らしいのですが、じっくり見たいような作品はあまりありません。

代表的なのがこちらの作品。卒業制作のためだけに彼氏と付き合ったという記録作品なのですが、今時の若者にありがちな自己愛に溢れていて全く共感できません。

岡野貴之「神徒」

こちらはおそらく屋内展示で最大の作品。村上隆と宮崎駿を合体させたような力作ですが、今後こんな巨大な作品を再作、展示できることはあるのでしょうか?

岡本伊代「2F2」

あまり観客と対話しようとする作品がない中でこちらは面白かったです。

グループ体験型の顔出し看板といった趣。デザイン科は流石に卒業後を意識した作品が多かったです。

國武美久「rehabilitacio de la forma」

逆に建築科は難解で理解の及ぶ作品がほとんどなかったのですが、こちらは唯一の例外。カタルーニャの巨大発電所を議会議事堂に改造する案です。実現すればドイツ連邦議会議事堂を上回る観光名所になりそう。

杉田由希「love scareccrowr 生産の女神」

最後にインスタレーションで面白かったものを2つ。これは電波な運動を戯画化した作品です。ありそうでないけど、田舎に行くとやっぱりあるかも(笑)

京増千晶「容疑者:■本陽一(32)」

特捜本部を忠実に(?)再現した作品です。

作者のSF的関心が伺えます。消失のテーマは飴屋法水が既にやっているとはいえ、まだまだ掘り起こしができそうです。この人にはこのまま突き進んでいってもらいたいものです。

 

おそらく現時点で既にギャラリーで個展するなど活躍してる人もいれば、もうアート方面には進まないと決めている人もいると思います。そのような人の作品が一堂に会していると思えば面白くもありますが、やはり量は多すぎます。まあ学生のワガママ(?)を無制限に受け止めるのも大人の力量なのかもしれませんが・・・

 

 

コメント一覧

★★東京藝大より面白い!桑沢デザイン研究所平成29年度卒業生作品展 – 博司のナンコレ美術体験2018年2月25日 1:40 AM / 返信

[…] 少なくとも展覧会としては東京藝術大学の卒展より楽しめます。★★ […]

★★突き抜けたエネルギー「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」 – 博司のナンコレ美術体験2018年2月26日 10:05 PM / 返信

[…] 東京の芸術大学のうち、東京藝術大学をのぞく、多摩美術大学・女子美術大学・東京造形大学・日本大学芸術学部・武蔵野美術大学の合同の卒業制作展です。 […]

どこかで見た光景「カオス*ラウンジ 新芸術校 第3期 選抜成果展」 – 博司のナンコレ美術体験2018年3月4日 12:08 AM / 返信

[…] 狭い空間に音や光が溢れる作品が所狭しと押し込まれています。わざわざ(おそらく)自費で1年間学校に通い、制作しただけあり、非常に密度が濃く、「東京藝術大学卒業・修了作品展」や「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」のような予定調和的なとこがないです。 […]

アートと下町散歩「明暗元年」 – 博司のナンコレ美術体験2018年7月19日 10:09 PM / 返信

[…] 似たような展覧会は春に東京藝術大学と、他の5美大の卒業制作展、また桑沢デザイン研究所とカオス*ラウンジ 新芸術校の卒業制作展も見に行きました。ただそれらのと違いは駅前のアクセスのいい場所ではなく台東区、墨田区の下町の中に点在した会場を巡らなくてはならないことです。 […]

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