青梅市立美術館「-祝喜寿-高柳裕展」2017年12月29日(金曜日)から2018年1月3日(水曜日)を見てきました。

 

青梅は都心から電車で一時間。昭和の街、映画看板、赤塚不二夫をテーマにした3つの博物館があり、まちづくりもそれをテーマにしてます。が、一回りしてみましたが、これを観光資源に人を呼ぶにはちょっと厳しいかなと感じました。映画や赤塚不二夫ゆかりの町でもないですし。

そんな都心の過疎地の青梅市立美術館。正直展覧会がなければ来ることもないかな・・・

ちなみに美術館の裏は多摩川を眺める絶景スポットです。これが最大の展示品かも。

高柳裕さんは今日ではそれほど知名度はないですが、その版画は美術評論家の高階 秀爾さんの本の装丁を多数担当するなど、ファンも多いみたいです。

青梅市立美術館はこの高柳さんの作品を多数所蔵することから、今回大規模な個展を行うことになりました。ただ展示作品は前期と後期で総入れ替え制こんなところまで2回も来れません(笑)。ちなみにカタログも9000円。田舎の美術館ほどこういう常識外れのことをしますね。

それはともかく、高柳さんのキャリアのスタートは新聞社から廃版になった金属凸版を入手したことから始まります。なので初期の作品はこれら新聞広告の寄せ集めになっています。そして多色刷りの技法で一気に版画界のトップスターに躍り出ます。

その後、徐々に独自のモチーフを使うようになります。この星座のシリーズは雲形定規を利用しています。

80年代ぐらいになると、動物園などで動物や鳥の写真を撮ってきて作品に利用するようになります。またどんどん余白が多くなってきます。日本の伝統絵画は余白自体に意味がありますが、高柳さんの余白は、モチーフに焦点を絞るための純粋な空白です。またインクをつけずに金属凸版を押す手法は、対象の影や動きを連想させます。

後期は哲学の理論などを取り込んだ、より謎めいた作品が多くなります。またどんどん淡い色が多くなっているのも分かります。

僕が行った日は高柳さんの版画の実演もやってました。こういったところは田舎のいいところですね。

 

作品自体は大変魅力的で、例えばしょっちゅう個展をやってる横尾忠則さんなどと比べても遜色ないと思います。ただ都心から出かけるにはちょっとボリュームが足りないかなと思います。長いキャリアをお持ちの作家さんなので、一階の展示室も全部使って埋め尽くすような展覧会にして欲しかったです。