• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

建築図鑑48 ウラオモテのある建築「多摩美術大学図書館」

多摩美術大学図書館に行ってきました。

設計は伊東豊雄氏です。下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館でも紹介しました。

大分類ではハコ型の建築なのですが、正面に当たる2つの面が円弧を描いて凹んでいるのが特徴です。

またこの曲面に合わせて巨大なガラスを微妙に曲げており、また鉄骨柱とガラスの表面が完全に一致する(つまり凸凹がない)ことに拘っています。当時は相当斬新なデザインだったとか。

もう一つの特徴として外観の連続アーチが内観でも延長されていることです。

また床面はもともとの地形に合わせて斜面を形成しています。

図面で見るとこうなっています。アーチが建物を支える柱であると同時に梁でも壁でもあるという発想です。

アーチ同士が90度で交わらないので単調さがなく、複雑な空間を形成しています。

1,2階ともに空間に合わせてデザインされた曲面を描いた本棚やソファが置かれています。

図書館にしては窓が大きすぎるので、カーテンを引いてる部分が多かったのですが、このデザインも建物に合わせています。

 

正面に反して裏面の2つの面は完全に平坦になっています。その上、カーテンも閉めっぱなし、車が半分突っ込むなど、下諏訪町立諏訪湖博物館・赤彦記念館ほどではないにせよ、伊東氏の建築は裏表が合ってどうも好きになれません。

 

本建築も他にも完全に配管を見せないようにするなど、建築家の世界では他の伊東氏の作品同様非常に評価の高いです。ただそのコダワリはデザイン業界の外には全く関係ないもので、そこが伊東氏が安藤氏や隈研吾氏に勝てない要因かなと思います。

 

ちなみに入り口の上にはツバメが巣を作ってました。この建築の角は鋭角になっていてただの箱型より閉鎖性があり、巣をかけるのに向いてそう。この建築の一番の受益者かも。

コメントを残す