• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★建築図鑑95「つくば建築群」

つくば市の建築群を見てきました。
つくば市は政府の政策によって作られた学術・研究都市であり、新しく作られた街だけに現代建築の宝庫です。
それ専門の本があるぐらいです。
そんな筑波の建築群は平野に歩車分離で作られた計画都市だけに、自転車である程度見て回ることができます。
色々見た結果特に面白かった建築を紹介します。
が、まずはそれほどでもなかった建築から。

【選外】つくば文化会館アルス【石本建築事務所】

つくば駅前に作られた図書館と美術館の複合施設。公園を取り込んだS字型の平面計画。デザイン的に面白さに欠けますが、木立に面した閲覧室は気持ちよさそうでした。

 

【選外】中央公園レストハウス【坂倉建築研究所】

エキスポセンターの向かいにある建物。現在は市民ギャラリーとリサイクルショップが入居してます。

一見正方形のミニマムなデザインですが、反対から見ると正方形の中に道路が貫通してます。

新都市らしい面白い試みです。

 

【選外】つくばエキスポセンター【佐藤武夫、日本設計】

1985年のつくばEXPOの元会場ですが、デザイン的に面白さに欠けます。

元万博会場だけに、建物だけはでかいです。唯一入り口上の照明がちょっと面白かったです。

イマイチボリュームがないですが、ここでエキスポの記憶を振り返ることができます。

 

【選外】筑波大学総合研究棟D【鵜沢隆】

筑波大学の建物の一つ。

並木通りの正面に建っています。

ダブルスキンで夜はきれいみたいですが、この時は見れず。

 

【選外】筑波大学5C棟

筑波大学内も歩車分離が徹底されてますが、この建物は自転車、歩行者が光速で通り抜けるので結構危ないです。

真ん中の通路の上が屋上までスカスカの吹き抜けになってるのが面白いです。

 

【選外】つくば国際会議場坂倉建築研究所】

かなり活用されているらしい会議場です。ガラスブロックを多用しているのが特徴です。

 

【選外】カスミつくばセンター【マイケル・グレイヴス】

企業や市民の研修所として設計されましたが、郊外にあるだけにラブホテルにしか見えません。

そのせいか利用されてる様子もなくひっそりしてました。

 

つくばカピオ【谷口吉生谷口吉生】

いつもの谷口です、としか言いようのないデザイン。これで池があって横を縮めれば法隆寺宝物館と区別がつきません。

あとこの建物だけ正面に鑑賞用(?)に広場がありました。これも谷口仕様ですか?

 

【選外】地図と測量の科学館【戸田建設】

郊外にある国土地理院の施設です。

円形の建築はそれほど面白さがなかったですが、展示とショップのマニアックさと、野外の20万分の1の地球儀(日本部分のみ)は面白かったです。

 

10位.洞峯公園体育館【大高正人】

公園内の体育館とプールがくっついた施設。

外観はレンガに対して内観は木材を多用。天井と壁から大きく光が取り込まれています。

奇抜さはないですが、気持ちのいい建物です。

 

9位.つくばセンタービル【磯崎新】

磯崎氏の代表作にして、ポストモダン建築の代表作・・・と言われていますが、何がすごいのかさっぱり分からず。下から見上げると建物がたくさん連なってるように見えるのが面白いぐらい。

8位.セキショウつくばアネックス【栗生明】

道路側から見ると普通のビルですが、反対側の畑から見ると熱負荷、光をコントロールするという鋼板が取りついています。

土地が余ってるのになぜか三角形の平面計画になってるのも合わせて、なんだか気になるビルです。

 

7位.南1駐車場【伊東豊雄】

伊東市の建物の中では極めて実用的(駐車場なので当たり前ですが)。

駐車場といいつつ低層部には色々入居しててそれっぽさは皆無。

ペデストリアンデッキと車道間の動線もしっかり確保されています。

車道を蛇行させ、車の動きをデザインに取り込んでいるところはなかなか面白いです。

 

6位.南3駐車場【坂倉建築研究所】

ガラスブロックを多用したオシャレな駐車場。

屋上のエレベーター機械室もガラスブロック。

街を眺めるベンチがあったりして、駐車場にあるまじきホスピタイリティを見せます。

 

5位.つくば新都市記念館【大高正人】

上述の体育館に隣接する休憩所です。

展望室が解放されていないのが残念。

中は喫茶店とギャラリーです。

やはり中は木張りで、体育館と共通しています。

レリーフは文字が剥がれ落ちたままになっているのが寂しいです。

集会所と喫茶室は池に張り出しています。

小さい作品ですが、見る角度によtって色んな発見があって楽しいです。

 

4位.ペデストリアンデッキ

性格には建築ではなく土木ですが、つくばの風景を作る最重要構造物です。

マラソンしてる人がたくさんいました。

道路上の案内板は右の飾りが全部パターンが違います。

一里塚のようにたくさんあって目を楽しませます。

 

3位.県営松代アパート【大野秀敏とアプル、三上設計事務所】

県営らしく質素な中にも遊びが見られる楽しい建築です。

 

2位.つくば市立竹園西小学校【原広司】

まさに「建物の中に都市が埋め込まれている」原氏の理論の実践例です。

 

1位.松見公園展望塔・レストハウス【菊竹清訓】

通称・栓抜きタワー。菊竹氏全盛期の傑作だと思います。

建築単体としてより、都市を見るイメージで行くと面白いかも知れません。

コメント一覧

建築図鑑145★★宇治の二面性「宇治駅」 – 博司のナンコレ美術体験2020年1月13日 3:51 PM / 返信

[…] ちなみに平等院ミュージアム鳳翔館は栗生明氏設計で、地味ながらも仕事師らしいステキな建物なのですが、こちらは撮影禁止。 […]

建築図鑑126★改修して未来感をなくす「市営基町高層アパート」 – 博司のナンコレ美術体験2022年11月19日 1:29 PM / 返信

[…] 大高氏はメタボリズム運動に参加したメンバーですが、黒川紀章氏、菊竹清訓氏など他の建築家に較べると知名度はイマイチ。しかしその庶民目線の設計は玄人受けはよく、特に集合住宅、さらに都市計画では様々な実績を残しました。 […]

★★建築図鑑94実用のかたち?「松見公園展望塔・レストハウス」 – 博司のナンコレ美術体験2023年1月4日 6:43 AM / 返信

[…] 南側の眺望。エキスポセンターやつくばセンタービルが見えます。 […]

建築図鑑126★改修して未来感をなくす「市営基町高層アパート」 – 博司のナンコレ美術体験 にコメントする コメントをキャンセル