メゾンエルメスの「ル・パルクの色 遊びと企て」ジュリオ・ル・パルク展【2021.8.13(金)~11.30(火)】を見てきました。
エルメスの外壁を作品にするのは湊 茉莉さんの展覧会以来です。
しかし今回はそれに加えてエレベーターとショーケースも展示に使っていました。
特にエレベーターの作品は前代未聞のもの。
また久しぶりに2フロア全てを使った展覧会になっていました。
それだけに多様な作品が揃っていました。
もっとも目を惹くのはレインボーな作品群です。
これはパルク氏が試行錯誤の結果、自分が選んだ14色のみで作品を作るとしたマニフェストのようなものです。
ジュアン・ル・パルク「仮想迷宮美術館」
14色の組み合わせで無限に作品が作れるそうで、会場でもこれでもかと作品が大量に展示されていました。
14色でありさえすればメディアにこだわりがないらしく、CGの動画作品もありました。
しかし僕はレインボーの作品より、それ以外の初期作に関心を持ちました。
先ほどのレインボーの大型インスタレーションと対を成すこちらの作品はメタリックなアルミの板を天井から球状になるように吊っただけの作品ですが、光が乱反射して外からも見えるほどで、かなり効果を考え抜かれた作品だと思われます。
ジュアン・ル・パルク「連続するライトボックス」
こちらは50年代に作られた作品。
どういう仕組みなのか判然としませんが、カラーバーが延々と上下左右に動き続ける作品です。
キネティックアートの流れにモロ乘った作品でしょう。
ジュアン・ル・パルク「12の湾曲形状」
最も面白かったのがこちら。
70年代に作られたこちらの作品はブラインドでカチャカチャ遊んでるようにしか見えません。
このようなぎこちない作品群はおそらく彼のアートの実験の一部でしょう。
ここから洗練されたレインボーな作品になっていくと思うと興味深いです。★★★