神奈川県民ホールでのやなぎみわ神話機械を見てきました。
やなぎみわさんは写真作品で有名ですが、演出写真が高じて演劇も監修するようにになり、活動の場が広がっている作家さんです。
今回の展示は初期から最新作までやなぎさんの作品を俯瞰する展覧会で、大型作品が多いだけに神奈川県民ホールのだだっ広い空間がよく生かされていました。
印象的だった作品を振り返ってみます。
性別、年齢を問わずに「おばあちゃんになりたい人」を募集して撮影したシリーズです。
写真に詳細な設定を書いた文章が付いているのが特徴です。
モデルとかなり細かい打ち合わせの上で撮影に臨んだらしく、この頃から既に演じることへの関心が見て取れます。
おどろおどろしいヴィジュアルがインパクト抜群のシリーズです。
様々な童話から着想を得ているシリーズで、その共通点は「いじわるなおばあさんと純粋な娘」が登場すること。
この両者の入れ替えを試みるシリーズですが、一番面白かったのはおばあさんと娘がマウントポジションを争う動画「ララバイ」だったりします。
ちなみにおばあさんも若い娘がお面をつけて演じており、ここでも他人に成り代わるという演出がされています。
かつて巨大なデコトラを演劇の舞台に改造したこともあるやなぎさんですが、今回の展示でも美術館内で演劇を行うという試みがされています。
面白いのはこの演劇は人が登場せず、4つの機械が一日に数回動き、これを演劇としている点です。
4つの機械は
・タレイア(メインマシン)
・ムネーメー(投擲マシン)
・メルポメネー(のたうちマシン)
・テルプシコラー(振動マシン)
とそれぞれ名付けられています。
タレイアは舞台を動き回りながらセリフをしゃべり、ムネーメーは一番インパクトのあるマシンですが、しゃれこうべを壁に叩きつけます。
メルポメネーとテルプシコラーは劇と関係あるのかないのか、それぞれ地面をのたうち、光ながら振動します。テルプシコラーの外観はデュシャンの瓶乾燥機のようです。
美術館で作品と劇が両方見れる、お得な展覧会でした。★