森美術館のSTARS展【2020.7.31(金)~ 2021.1.3(日)】を見てきました。
現代美術家の特に注目される6人をピックアップして一堂に会するという、夢のような企画です。
今回展示に一番力が入ってたのは村上隆だと思います。
展示の規模、点数、バリエーションも多く、冒頭での展示ということもあり、人が多く集まっていました。
村上隆「Ko²ちゃん」
何度も色んなところで言及されている村上の美少女作品。実物を見たのは初めてです。
身長の2/3ぐらいが下半身で、脚が長すぎて自然にパンツが見えてます。
他にも異様に頭が大きかったり不気味な点が多いのですが、ぱっと見普通の美少女フィギュアです。
やはりというか、この作品がそれほどの価値があるようには見えませんでした。
村上隆「マイ ロンサム カウボーイ」
村上隆「ヒロポン」
この二つも村上氏の代表作です。
精液がらせん状に稲妻のように立ち昇った男性像と、母乳で縄跳びをする女性と、前回より表現が過激化しています。
人が目をそらしたくなる性の問題を露骨に前面に出したことにより、村上は世に認められます。
やはりあまりにも露骨な性描写のせいか、エロさを感じられない作品でした。
村上隆「阿像」
村上隆「吽像」
会場の中心で天井ギリギリの巨大さを持って周囲を威圧している阿吽像。
東日本大震災を受けて製作したそうです。
足元の踏みつけられている妖怪?がユーモラスです。
やはり非常に大袈裟な表現です。
村上隆「原発を見に行くよ」
やはり東日本大震災を受けて製作された映像と絵画のセットです。
映像作品にしては観客の関心が強い作品でした。
被り物の猫の目玉が動くのが可愛いです。
説教臭くないメッセージは村上らしい?
村上隆「チェリーブロッサムフジヤマ」
村上の新作で、本展覧会の目玉ともなる作品です。
桜がテーマなのは花見ができなかったせい?
村上隆「ポップアップフラワー」
同じく新作です。
巨大なものからかなり小さな花も描かれています。
よく見ると小さい花は笑顔がありません。
単に画面の奥に押し込められてふてくされているようにも感じますが、世の中の不平等を表わしているのかも?
こっちはうって変わって閑散とした李禹煥の部屋。
床に砂利が敷かれていますが、接着されているので蹴飛ばして作品が傷つく心配はありません。
李禹煥「関係項」
ここだけ砂利がないのはちょっと面白いです。
よく見ると変わった石に見えて面白いのですが、人工物だけの作品もあるのでそこが主題ではないらしい。やはりよく分かりません。
資料展示を挟んで草間彌生の部屋。
過去にも見たような作品もあり新鮮味がありませんでした。
草間は都内に個人美術館もあるので、そっちに力が入ってるのかも。
宮島達男「刻の海-東北-」
宮島達男の部屋。この作品は政策に協力した東北の人々の名前が明記されているのがちょっと異色でした。
宮島達男「30万年の時計」
宮島の最初のカウンターを使った作品です。
河原温もそうですが、生命やお金と並んで、時間というのも人々の永遠の関心のテーマ。そこに切り込んだのが斬新でした。
別に期待していなかったのですが、面白かったのが奈良美智です。
特にこの巨大な家は見ごたえありました。
例によって内部も作り込まれているのですが、正面のネズミとチーズのおもちゃ欲しいです。
彼は自作だけでなくコレクションも積極的に展示されていました。
メルヘンなものだけでなくドキュメンタリーやホラー作品もあるのが意外でした。
杉本博司「シロクマ」
最後は杉本博司。
やはり彼の出世作が展示されていました。
杉本博司「時間の庭のひとりごと」
新作は30分ほどの映画です。
杉本氏が自身の美術館(?)である江之浦測候所 での思索をまとめた、氏の集大成的作品です。
測候所の映像に、軽妙なメッセージが差し込まれ、杉本氏の作品にしては分かりやすかったです。
手際よくまとまっていましたが、作家によっては作品数が非常に少ないのは気になりました。
作家の初期の出世作と最新作を揃えているのは流石でしたが・・・
また6人の人選も国内の一般の人気というより専門家の評価、海外の評価、作品の価格が重視されているように感じました。
森美術館の展示はいつも知らない作家さんを紹介してくれることが多かったので、新鮮な驚きがないのは不満でした。★