神奈川横浜市の桜台ビレッジに行ってきました。
内井昭蔵氏の作品で1969年竣工です。
内井氏の代表作は世田谷美術館。ですが公共建築に乗り出すはるか以前の集合住宅こそ、見ごたえのある建物だと思います。
立地は東急田園都市線の青葉台駅から徒歩16分。
ちなみに駅前にも昭和の香りが強い素敵な団地が立っています。青葉台東急スクエアという名前で、名の通り上空から見ると正方形に見えます。実際の形状はコの字型に高層団地が3つ並ぶというもので、黄色のカラーリングと言いいいレトロ感が漂っていますね。
階段の上からの眺めも抜群です。
ここからもほかの斜面住宅が見え、横浜が坂が多い町であることを実感します。
本題の建物は桜台という名の通り斜面に立つ集合住宅というイメージがありましたが、バス通りを歩いているとごく普通に白亜の建物が姿を現します。
白亜なのはペンキ塗り直したばかりなだけでしょうが、大事に使われている印象です。
バス通りに面していますが斜面に立っていることには違いなく、道路からすぐ急斜面になっているところに立っています。
正面から見ると角度がずれた不思議な形状のバルコニーがついています。日当たりとプライバシーを両立させた結果かもしれません。
1階の店舗も住居部分と同様ギザギザ状になっており、2階のバルコニーがそのまま庇になり柱が店舗の前に飛び出しています。この特徴的な形が奏功したのは分かりませんが、店舗の入居率は高いです。
この裏側にも店舗があるのですが、こちらはほとんど営業していないようです。表通りからだと裏側にも店があるとはとても思えません。
住居部分には建物正面の真ん中の階段から入るほかには・・・
正面右側の斜面を登り回廊に入ります。
回廊からさらに渡り廊下のような橋を渡って各住居にアクセスします。
凝った仕掛けになっていますが、この演出と豊かでよく手入れされた植栽のおかげで斜面というより森の中の集合住宅という雰囲気が強く出ています。
東急田園都市線という名前通り、東急は沿線沿いの理想の暮らしを演出しようとし、また当時大量に供給された日本住宅公団をはじめとする公共住宅の(見る人によっては)無個性な集合住宅のアンチテーゼとして本住宅は建てられました。
本シリーズはその後近くの桜台コートビレジ、宮崎台ビレッジと続き、さらにたくさん立つ予定でしたが、計画は立ち消えになりました。これはこのような住宅が受けなかったというより、建てるのが大変で採算化に苦労したためだと思われます。★
桜台コートビレッジに続く。