世界のアーティスト250人の部屋を読みました。
アーティストというと芸術家を髣髴しますが、他に建築家、デザイナー、小説家、音楽家、歌手などを含みます。国内作家は殆どおらず、ヨーロッパが最も多く、次いで北アメリカ、南アメリカ、アジアと取り上げられています。
海外の芸術家の家は公開されているところも多く、見学できるかどうか明記されているのが嬉しいところ。
現役のアーティストで公開している所は皆無ですが、近年亡くなった人でも公開されているところもあり、テーマパーク化しているところもあります。
大抵豪邸ですが、アパートの内装をアトリエに模様替えしているところもあり、アーティストの息遣いが感じられます。
大判の本だけあって写真はどれも美しいです。
自分が利用することも考えて、特に惹かれたところを内部見学可のところのみまとめてみました。
ブランコ・ルネッサンス美術館
フィリピンの芸術家の自邸を改造した美術館です。
ルネサンスといいますが南国の陽気な雰囲気が混ざり合いカオスな空間になっています。
レモ・ブリンディシの家美術館
本書では国内でほとんど知られていない作家も多く紹介されています。
日本でも無名の作家が個人美術館を持っていることが多いです。
当初から美術館兼自宅の予定だったのか、ジャン・ピエール・レイノーみたいなだまし絵的空間が面白いです。
ジョルジョ・デ・キリコの家美術館
シュルレアリストのダリの自宅兼美術館は有名ですが、他のシュルレアリストはほとんど知られていません。
ここはキリコの自宅兼アトリエで、アパートの内装を住民好みに変えただけの控えめな施設です。
とはいえ、このような施設の方が画家の精神を研究するには適切かもしれません。
ジャッド・ファウンデーション
難解なミニマリスト、ドナルド・ジャッドの自宅兼アトリエです。
ビルごと購入しました。
作品の配置に拘るジャッドのインスタレーションの実験場でもあります。
ここからさらにテキサスの向上を利用した展示場に発展していきます。
ポロック=クラズナー邸
ジャクソン・ポロックとパートナーの芸術家、リー・クラズナーの自邸兼アトリエ。
ポロックは作品と同じくらい絵具をまき散らして描くスタイルの写真が有名。映画化もされたポロックとクラズナーの活動の拠点でもあり、ポロックの作品は世界中で見れますが、彼の息遣いをこれほど感じられる場所は他にありません。
モネの家美術館
かなり観光地化しているとはいえ、モネの世界観を味わうにはこれ以上の施設はないでしょう。
タロットガーデン
日本でも有名なニキ・ド・サンファルの代表作。家というよりも、「作品を作るために居住空間が必要だったため、作品内に住んだ」というのが実態に近いかも知れません。
見る人によってはケバケバしく、毒々しい彼女の作品ですが、ここまでやる情熱は本物です。
ロベール・タタン美術館
アール・ブリュットな雰囲気を強く感じる自邸です。
日本の玄関先の主婦のアート作品を大型化した印象です。
ガラスの家
日本でもワタリウム美術館で個展が行われたリナ・ボ・バルディの自邸です。
同じガラスの家でもフィリップ・ジョンソンやミースのそれとは違い、2階部分がガラスになっているので現実感があります。
樹木が繁る丘の上に立っており、中庭まで木が生えているのがグーグルマップから確認できます。
ラ・ファブリカ
日本でも商業ビルの作品があるリカルド・ボフィル氏の自邸、オフィス、展示スペース、コンサートホールなどを兼ねた複合施設です。近くに彼の代表作もあります。
旧セメント工場を改造したもので、巨大な廃墟をその雰囲気を残しながら多様な用途に改造したものです。
空虚と言われる彼の作品らしい空間です。
フレイ・ハウス2
日本では知られませんが、建築家アルバート・フレイ氏の自邸です。
カルフォルニアらしい明るい作風のようで、本建築も見晴らしのいいセレブ地域の丘の上に立ちます。
ロープウェイの駅の設計が代表作らしく、自邸も軽やかな印象です。
稀に行われる公開ツアーでのみ入れるとのこと。
メーリニコフ邸
とても家とは思えない、ロシア・アヴァンギャルドの建築家の自邸です。
短命な芸術運動だけに実作が乏しく、これは数少ない実現、現存作です。
キャン・リス
シドニーオペラハウスで有名な建築家、ヨーン・ウツソンの自邸。オペラハウスの設計者を辞任させられ、失意のウツソンはここで傷を癒したのかもしれません。
現在は建築家やアーティストの研修・保養施設だそうです。
タリアセン ウエスト
砂漠に立つ、フランク・ロイド・ライトの晩年の自邸兼オフィス。
ライトの圧倒的なスケールの大きさを実感できます。
デヴィット・ボウイ&イマン邸
カリブ海のセレブの別荘が多い島のデヴィット・ボウイの別荘です。
複数ある豪華なベットルームが特徴です。
海外では現代のアーティストの自邸も解放されてていいですね。
グレイスランド
エルヴィス・プレスリーの自邸を中心に、テーマパーク化した施設です。
もはや家と言えるかは微妙ですが、彼の世界観が味わえるのは間違いないです。