東京文化会館を見てきました。
設計は前川國男氏。同じ上野公園内の東京都美術館も前川氏の作品です。
前川氏のデザインは初期の世田谷区民会館のようなブルータリズム作品から東京都美術館や埼玉の博物館のような打ち込みタイルの穏やかな作品になっていくのですが、どちらの作品にも共通しているのは装飾が少ない、ある種そっけない建物であることです。
これは時代的にもデザイン的にも両者の間に位置する作品ですが、どちらとも違う点もあります。
本建築は前川氏の「デザインしないデザイン」みたいな作品群とはちがい、かなり装飾的です。
PCコンクリートをそのまま仕上げに使ったのはブルータリズム的ですが、最大の特徴である反り返った屋根(?)は唯一無二のデザインです。
全円の部分や、植木鉢なども反り返っており、反りが全体のテーマになっているようです。
よく見ると特徴的な屋根がない部分も微妙に反っています。
またバックヤードに当たる部分に人が通るため、裏側もしっかりデザインされています。
写真では分かりづらいですが、扉の赤の他に天井は青が使われています。
段違いになったデザインが楽しいです。
外壁に割った石を使っていたり、予想以上に変化に富んでいます。
機械室を隠す板もしっかりデザインされています。
師匠であるル・コルビジェの国立西洋美術館よりこっちのほうが断然いい建物で、こっちが世界遺産だと思っている人も多いのではないでしょうか?
まあコルビジェの作品群の中で国立西洋は殆ど本人が関わっていない作品だし、そもそも前川氏とコルビジェがどこまで関係が合ったかも怪しいですが・・・
上野駅の目の前の建物なので、何度も目にしていますが、裏まで回ってみると色々発見できて楽しい建物です。★★