東京オペラシティ アートギャラリーの「ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展」【4/17-6/20】を見てきました。
いつもは下階が特別展、上階が常設展という構成のオペラシティですが、ライアン・ガンダーの作品が来ないせいで、ガンダーキュリエーション全館常設展という展覧会になりました。
とはいえオペラシティの常設展は東京都現代美術館や国立近代美術館のような都内の現代美術常設展に比べると地味な印象で、いつも特別展のオマケと考えていました。
いつもスルー気味の収蔵品展ですが、今回は展示方法に趣向を凝らし、見るということを考えさせられる展示になっていました。
上階では壁の片面に ヴンダーカンマー風に絵をびっしり並べ、反対の壁には絵の大きさの枠を描き、キャプションだけ付けるという構成になっていました。
絵をびっしり並べたりキャプションを付けない展示というのは過去にもありましたが、個々のコレクションの特徴であるモノクロの絵だけを並べた展示が面白かったです。
菅井汲「黒のマッス」
李禹煥のようなミニアムアートがたくさん展示されていましたが、菅井汲のような普段カラフルな作品ばかりの人の意外な作品が混ざっているのが新しい発見でした。
向山裕「夜間爆撃」
五味文彦「卓上のうつろい」
下階ではより見るということを直接意識させられる趣向になっていました。
部屋は薄暗く、貸し出されたライトを当てなければろくに作品が鑑賞できません。
普段は美術館の理想的な照明の元、芸術家と学芸員が絵を見せたいように見せられていますが、ここでは彼らの意図を超えて、観客が自らみたい対象を選び取ってみることになります。
普段はない下からの光で絵を見ることもそうですが、写実絵画は光の当たり方によってより本物らしく見えるので、それらの仕掛けが白日の下にさらされることにもなります。
美術館に行くことの意義が新しい発見をすることだとすると、かなり成功した展覧会だと思います。★★
2021年展覧会ベスト – 博司のナンコレ美術体験2022年2月2日 6:53 AM /
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