板橋区立美術館の「小さなデザイン 駒形克己展」【2019年11月23日(土・祝)~2020年1月13日(月・祝)】を見てきました。
駒形さんはニューヨークで修業したあと、国内でデザイン事務所ワンストロークを開き、主に絵本の制作で活躍されているデザイナーさんです。
板橋区立美術館とはかかわりが深く、美術館のロゴデザインなどもされています。
ちなみにこの美術館、2019年に改装されたのですが、今回初めて行きました。
基本的なフロアの構成は変わっていないのですが、内装や照明の効果でここまで変わるのかと驚きました。
展示室も休憩スペースも明るくなっているのが最大の違いです。
展示はニューヨーク時代から最新のものまで集めた部屋と、絵本が自由に読める部屋の他に・・・
絵本を並べたインスタレーションの部屋とショップの部屋があります。
ニューヨークではレコードのパッケージのデザインをしたかったという駒形さん。
正方形が好きらしく、これはレコードのパッケージから絵本まで一貫しています。
レコードのデザインはのちに国内で安全地帯やオフコースを担当することになり、またコムデギャルソンなどファッションブランドの販促グッズも手掛けることになります。
しかしより興味深いのは絵本の仕事です。
特に面白かったものをピックアップしてみました。
駒形さんの代表作のシリーズの一つです。
絵本としては従来なかったスタイルで、正方形の箱に折りたたんだカードが複数入ったカード絵本です。
カードを開いていくことで、その色が何の色であるか分かる仕組みです。
後のシリーズは折り方がもっと複雑なものもあります。
絵本というよりアート作品です。
全て真っ白なページに切り欠きだけで雲を表現しています。
同じ白のようで紙質や色合いは微妙に異なり、空と雲の色の多様さを表現しています。
初期の代表作です。
駒形さんの娘さんのお母さんのおなかの中にいた頃の話を聞いて着想した本で、終始抽象的な表現が面白いです。
珍しい普通の物語の絵本です。
真っ赤な犬がステキです。
周りをよく見ると色んな発見があるというメッセージは駒形さんらしいです。
胎内にいる赤ん坊が生まれるまでを描いた絵本です。
スパイラルしているものはへその緒です。
真っ赤なデザインと仕掛けが楽しい絵本です。
一本の木の誕生と成長、死と再生を描いた絵本です。
各ページの木をポップアップで表現。
空の色の変化で木の一生を表わすミニマムな表現です。
文章も詩的。
絵本というより紙製のおもちゃ。
正方形の紙の折と切り欠きだけで蛇を表現しています。
あと、この絵本の仕事が発展したもの(?)が九大病院の内装です。
それぞれの作品は絵本としては耐久性に欠けるものが多く、絵本というよりアート作品のようです。小さな美術館ですが展示は多様で充実しており、場所は遠くても行く価値のある展覧会です。★★★