埼玉県川口市の川口市めぐりの森に行ってきました。
設計は伊東豊雄氏。
場所は目の前を高速道路が走ってるし、高圧線も敷地の横を通っており、お世辞にもいい環境とは言えません。まあ火葬場ですしね・・・。
この施設は川口市で史上初の火葬場であり、これまでは近隣の自治体で火装していました。
園児の声がうるさいから近所に幼稚園を作るな!ではないですが、火葬場は市内に欲しい、でもウチの近所は嫌だ!という民度の低い市民の声に応えてできたのがこの位置の火葬場というわけです。
この悪い意味で日本人らしい声に応えて設計を請け負ったのが八方美人な伊東氏。
その最大の特徴は火葬場っぽくない外観です。
火葬場たるシンボルである煙突は非常に低く、階段状になった上階にほとんど埋め込まれています。
基本的には地上一階建てのワンフロアのコンパクトな構成で、2階以上のレベルは火葬場の機械室が入っています。
上階はメンテナンスのため外部に出ることもでき、最終的にはもっと植物に覆われた外観になるとのこと。
植物に覆われた階段状の上部はバベルの塔みたいでなかなかかっこいい。
いっぽう低層部の波うった天井と、それと一体化した柱は伊東氏のお馴染みの手法で真新しさを感じません。
内観も外部と連続した表現になっており、これもお馴染みです。
オリジナルと思われる椅子。左右非対称で、置く向きによって印象が一変します。
告別収骨室はオリジナルの表現がされています。
天井のライトの色をお別れの段階に合わせて変えています。
白いライトは最後のお別れの演出です。
建物の裏手は池になっています。
波打ってる屋根は単調ではなく、複雑なパターンを描いていることが分かります。
控室内も内装が統一されています。
首尾一貫しているのが最近の伊東氏のデザインの特徴です。
それほど真新しいところはありませんでしたが、火葬場という空間を内覧会でじっくり見れたのは良かったです。