• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

建築図鑑243★★南方熊楠記念館

和歌山県白浜の南方熊楠記念館に行ってきました。

 

以前行ったときは本館のみでしたが、新館が増築されていました。

新館は小嶋一浩氏の設計です。

新館はエントランスから見て本館の手前に位置し、本館は2階以外立ち入れません。記念館としての機能のほとんどは新館が担っていると言えそうです。

単純な矩形の本館に対し、新館は他では見ない形状をしています。

南方氏が研究した粘菌をイメージしているのか、粘菌が本館に触手を伸ばしているように見えます。

特異な形態をしていますが、建物の機能と融合しています。

エントランスに吊るされているのは南方氏の文字やスケッチを帯状に切って縫合したもの。元になった文字や絵は判別できませんが、南方氏の世界観の広がりを感じる作品です。

この作品は屋上の灯り採りから吊るされています。

最も気になるのが新館と本館をつなぐ細い部分です。

ここは2階部分では外を眺めながら蔵書を読めるスペースになっています。

南方が粘菌を採取した自然豊かな番所山が最大の展示物という記念館の主旨にあった展示です。

それ以外にも階段部分など有機的な造形が多く、小さいながらも楽しい空間になっています。

随所に粘菌を思わせるデザインも多く、また館内に流れるコンテンポラリーな音楽も他館にない不思議な雰囲気に一役買っています。★★

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