三菱一号館美術館(丸の内)の「ルドン 秘密の花園」【2018年2月8日(木)~5月20日(日)】を見てきました。
フライヤーやポスターは明るい色でまとめていますが、不吉さや死の気配は覆い隠しようもありません。
実際、展示室は明るい花より奇妙な生物群のほうが存在感を放っています。これらの作品は知り合いの植物学者の影響を受けたと解説されていましたが、その学者もさぞかし驚いたのではないでしょうか?
多くの版画作品は当時最先端の名著の挿絵として制作されたもの。タイトルも中二病風。訳した人のセンスでしょうか?
ふと家の中に感じる気配を視覚化した作品でしょうか?最新の科学に触れながら、同時に科学で解明できないものにも強い関心があったようです。こういう作品も構図は花瓶の花と共通します。
メインのドムシー男爵の食堂装飾の再現展示です。くすんだ色合いの中で、一点だけ鮮やかな青い花瓶が映えます。他の作品はカラフルでありながら生命感がなく、死を強く感じさせます。また異常なまでに巨大な花びらも違和感を助長します。
晩年は普通の写実的な作品になってしまい、退屈です。本人の精神状態がそのまま作品に現れるのは、意外と正直な人だったんだなと思われます。
一貫して植物を描いているのが得意な点と感じました。解説は割とあっさりしていたので、まだまだ掘り起こし甲斐がありそうな作家です。★