• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

過激化する斜面住宅★★建築図鑑311桜台コートビレッジ

桜台ビレッジより1年後の1970年、自信を深めたのか内井氏の建築はここコートビレッジでさらに過激化します。

それはこの建物下部の山肌の急斜面の剥き出しぶりやそれを支える柱群、そして路上に飛び出すかのような片持ちの半分空中に浮かぶ部屋群から伺えます。

 

場所はバス停「桜台ビレッジ」から次の停留所、「ガーデンハウス前」。

このガーデンハウスというのはまさにバス停の真後ろにある斜面住宅ですが、これを見ると同じ「バス通りに面した斜面住宅」でもいかに桜台ビレッジが特殊な建物かが分かります。

 

 

問題の建物はここから一本道路を入ったところにあります。ビレッジは斜面にありましたが、こちらは完全に小山の斜面に立つ住宅です。

ちなみにバス通りから見える斜面住宅はまた別ものであり、コートビレッジのさらに上に建ちます。山なのに住宅が密集しています。

 

出典:ウィキメディア・コモンズ (Wikimedia Commons)

 

斜面にへばりつくように立つから斜面住宅なはずですが、斜面から立ち上がり、飛び出す箱はモントリオールのハビタ67を彷彿させます。実物を見たことはありませんが。

 

この飛び出した箱の下の窓からの眺望はどのようなものかと心配しますが、どうやらハビタと同じく箱とその下は同じ住戸単位のようです。

 

これだけでも過激ですが、部屋までのアクセスもビレッジよりパワーアップしており、ジグザグの階段や廊下、トンネルなどを通って各住戸にアクセスします。

 

こうなると中央の用途不明のタワーは迷子にならないための目印なのかもしれません。

 

本シリーズはその後宮崎台ビレッジと続き、さらにたくさん立つ予定でしたが、計画は立ち消えになりました。これはこのような住宅が受けなかったというより、建てるのが大変で採算化に苦労したためだと思われます。★★

コメントを残す