埼玉県立近代美術館のトモトシ有酸素ナンパ【2019.11.14 – 2020.01.19】を見てきました。
トモトシは以前中央線画廊の展示を見ました。外観、内部ともに衝撃の展示だったため、強い印象に残っています。
今回は美術館での初の個展です。
といっても美術館の通路部分(?)の空きスペースを使ったものですが・・・
とはいえ館内の色んなスペースに動画を仕込むという新しい試みもありました。
電車内の椅子を詰めて座り直すという旧作もありましたが、ほとんどが見たことのない展示でした。
そして都市の人間観察を扱ったのは前回も同じですが、今回2020年の東京オリンピックもテーマになっています。
3Fに展示された「美しい日本の私たち」は通勤中の人々にトモトシが交通ルールを守るよう呼び掛けるというもの。
前回オリンピックの際のハイレッドセンターの「首都圏清掃整理促進運動」のパロディです。
前回は警察が見張りに来てたりしてましたが、今回は通行人含めまったく無視されており、時代の流れを感じます。
トモトシの発する空虚なメッセージが国家イベントの空虚さを浮き彫りにしている?
「ビッグオレンジボックス」は逆に大きなゴミ箱を転がして、人々のゴミを回収する一種のボランティア活動です。
海外に対して都市にゴミ箱が少ないことに注目したという作品。
トモトシのゴミ箱はすぐいっぱいになります。
こちらも政府の清掃活動を皮肉る意味があるのかも。
路上駐車違反の自転車を色別に並べ替えようとする試み。
面白いのが路上駐車使用する人がトモトシの指示(?)に従って意外に素直に整理に協力すること。
都市の既存の秩序を疑う試みです。
ちなみにこの展示は自転車のインスタレーション(?)付です。
埼玉県立近代美術館の椅子コレクションも活用されていました。
埼玉から新国立競技場まで棒高跳びの棒を運ぶイベント。
人々の協力を募っています。
(偽物だけど)国家イベントに気軽に参加できると人々が非常に強力的なのが面白いです。
ユニクロのファストファッションに身を包んで街をひたすら歩き、同じ服を着た人と記念撮影するというイベント。
どの動画も大衆とトモトシ自身が登場するのは共通です。
公園に植えた植物を深夜に大きなものと取り換え、急成長したかに見せかける作品です。
急成長といいつつ、植物の種類も明らかに変わっており、いい意味でいい加減。
にも拘わらず、誰も気に留めないのが面白いです。
よく人間観察が趣味という人はいますが、これはまさにそれをテーマにした作品群です。
動画の長さも10分弱ぐらいで全部見れる程度なので、余裕をもって訪問すれば他の展示のついで見れるはずです。★★