茨城県稲敷郡の予科練平和記念館を見てきました。
設計は吉村靖孝氏。
予科練とは航空兵を養成する学校のことで、軍の士官学校ほどではないにしても狭き門で、戦前は大変人気の学校でした。
予科練は太平洋戦争期には軍の要請に従い全国に大量に作られましたが、元祖はここ霞ケ浦の学校になります。
予科練出身者は戦局が悪化した大戦末期には教育機関を短縮したうえで、大量に特攻に投入されました。
敷地内にはその特攻兵器の一つである回天が展示されていました。
これは魚雷に操縦席を付けた一人用の特攻兵器です。
建物の外観は市松模様を全面的に用いており、4面ともほとんど同じです。
迷彩模様のような特徴的な塗装は、航空兵にちなんで空に溶け込んでいくようなイメージだと思われます。
逆に白いところは窓も兼ねており、展示室内部に自然光を取り込むことができます。
市松模様が重なって、エッシャーのような効果を生んでいる部分です。
単純な形状は予算の節約の中キャラの立った外観を作る上での工夫だと思われます。
内部は撮影禁止なので、外から。
市松模様が自然光を取り入れるのに役立っているのが分かります。
外観と同様、内部も単純な形なのですが、什器の工夫などで多様な展示室を作っています。
試験、学校での生活、実践、特攻といった予科練の学生の典型的な経歴を丁寧に紹介しています。
また大きな航空基地のあった霞ケ浦の空襲の様子も再現していました。
小さい施設で交通の便も決して良くないのですが、軍関係の資料館の中では平成22年竣工と新しく、見ごたえのある展示でした。
あくまで予科練の学生中心の生活に密着した展示も特徴に感じました。★★