惑星ザムザ【2022/05/01~2022/05/08】を見てきました。
小高製本工業株式会社 という印刷会社のビルを利用した展覧会です。
入居者が撤退した後の期間を利用した展覧会で、会場内には退去直前に貼られたであろうインフラ供給停止を知らせる張り紙や・・・
工場の道具とともに弁当のメニューなどがそのまま残されていました。
日本特有の2つの道路に挟まれた変則的な土地に立つビルです。しかも道路の片側が斜面になっているため、ビルの面によって地上階が2フロアもズレます。
会場の動線ではその面白さを生かし、3階から入って6階まで上がり、その後別の階段で2階、1階を見て裏口から出るという構成になっています。
出口に出て初めてビルの全貌が分かるという構成が面白いです。
また写真で1~3階までビル壁の仕上げがないのは、正面に別のビルが建っていたからではないでしょうか。
名もなき実昌「いつかはきえる(記号が並ぶので省略)」
3階で見れるのは床にチョークで絵と文字を書き、所々にバナナの皮を置いた作品。
床を踏み、チョークの絵を潰さないと鑑賞できない仕組みになっています。
期間限定の展覧会にふさわしい作品と言えます。
絵がカーペットの柄に偽装しているのも面白いところです。
百瀬文「Born to die」
管の両端が交互に光り、それに合わせて別々の悩ましげな声が響きます。
片方がセックスの際、片方が分娩の際の女性の声だそうです。
非常に面白い発想ですが、その他にも会場の暗さや廃墟感を生かした作品が多くありました。
田中勘太郎「上書きの下のミイラ」
工場の機材で押し花を作るという作品です。
南北の外の景色が見える広い部屋での展示で、工場としての記憶を最も色濃く残す展示でした。
倉知朋之介「ムシ図鑑」
「ザムザ」との明確なつながりが見えた唯一の作品。
巨大なカブトムシに襲われるおバカムービーですが、疾走感が素晴らしく、会場内の不気味さを取り込んでいるのもいい。未知の言語を話すのは仮面ライダークウガのパロディか?
宍倉忍信「P.S. Installer」
SF小説と発達障害の勉強を組み合わせたガチの真面目作品。
会場構成が面白く、作品も場所にあったものが多くて楽しめました。★★★