東京都現代美術館の石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか【2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)】を見てきました。
ギンザグラフィックギャラリーと同時開催の展覧会です。
会場は特別展示室の1階と地下1階を使っているのですが、会場内は石岡さんのインタビューの声が流れ続けるという変わった演出。
デザインの展覧会ですが、石岡さんがニューヨークに渡った後は映画界で主に活動しただけに、映像展示が非常に多く見るのに時間がかかります。
他の展示もあるので丸一日確保しないと見切れないでしょう。
特に良かった作品を振り返っていました。
野性時代は角川書店が発行していた小説雑誌です。SFなどかなり前衛的な小説が掲載されていたようで、装丁もそれに見合った謎めいたものです。前の方についているカラーエージのイラストも印象的でした。
ヒロシマアピールズとは毎年一枚づつ制作される広島の平和の祈りを訴えるポスターです。
石岡さんの製作した1990年のものは例年のものとは違いかなり具体的なもの。
ミッキーは大衆の象徴で、目隠しは本質から目をそらすもの、と解説されていますが、普通ミッキー=アメリカを連想するので、石岡さんがアメリカに痛烈な一撃を加えたように感じます。
ナチの記録映画作家で有名なレニ・リーフェンシュタールを再発見した、意義ある展覧会です。ナチに協力した部分とその芸術性を戦前後区別なく提示し、歴史の失敗に学ぼうという試みですが、同時に同じ女性としての歩みにも強い共感を覚えたのではないでしょうか?
ニューヨークに拠点を移した直後は日本紹介者的な仕事が多かったようで、これもその一作です。
冒頭の討ち入りの様子と現代のサラリーマンのゴルフ打ちっ放しがオーバーラップするのが面白いです。オペラらしい、吉良の大げさな演技も見どころです。
金閣寺だけでなく、部屋全体も金ぴかの異色の展示。金閣が二つに割れるのは小説「金閣寺」で金閣に支配される主人公の心情の表れでしょうか?
これい以外にも映画には抽象化されたセットが沢山出てきて、非現実感が面白いです。
後半の展示は映像主体でしたが、個人的にはSF的演出が面白かったです。
石岡さんの仕事は一貫して保守性が皆無です。
シルク・ドゥ・ソレイユ:ヴァレカイサーカスの仕事で、ド派手な展示空間が楽しかったです。
やりたいことは10%もできなかったとのことなので、石岡さんの仕事と言えるか疑問ですが、3000人が書物を読み上げながら踊るなど、大げさな演出は圧巻でした。
関連する映画も見たくなりました。