2018年6月19日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★建築図鑑④ミニマムアートの楽園【ディア・ビーコン】

建築図鑑はいきなりニューヨークに飛んで、ディア・ビーコンです。

 

ディア・ビーコンはニューヨークのマンハッタン島から電車で90分ほどの郊外にある、ナビスコの工場を再利用した現代美術館です。特徴はとにかく巨大であることと基本ミニマムアートしかないであることです。

日本ではあまり情報が無く、美術手帖やPENのバックナンバーぐらいしか観たことがありません。

なので実際どんな空間なのか、極力再現するつもりで紹介してみます。

ビーコン駅からディア・ビーコンまで徒歩10分ぐらい。英語も喋れないのにこんなとこまで来て大丈夫かと不安になります(笑)右側はハドソン川です。ニューヨークからずっと見えます。

ディア・ビーコンの入り口看板です。

エントランスです。雪が降ってて寒いです。外観は工場から最小限の改修しかしてないようですね。

チケット代わりのバッヂです。服につけて使います。

会場の地図です。建物と同様、非常にそっけない作りです(笑)。左の入り口付近にショップと彼がある以外は基本全部展示室です。部屋名はなく、そのままアーティスト名が記載されています。一部屋一作家という理想的な展示です。

地下の地図です。ほとんどワンフロアに見えますが、実際は2階にも若干の展示室があります。

ちなみに僕が行ったときに収蔵してるけど展示されてなかった作家さんは例えば日付の記録を絵画にしちゃった河原温さんや、

木や鉄や石を並べただけという作風でお馴染み(?)の菅木志雄さんがいます。

 

草間彌生や村上隆でない辺り、ディアの方針がはっきり表れてますね。

その他配布物はパンフレットや、

解説ブックレットが一応あります。

ショップで買ったポストカードです。ちなみにショップはこの他は本ぐらいしか売ってません。MOMAとえらい違いです。作品と同じで建物も経営方針もクールです。

それでは思い付くままに展示作品を紹介していきます。ダン・フレヴィンは広大なディアの中でもかなりの面積を使って紹介されてます。

その作品は全て蛍光灯が並べているだけ

作品を購入したコレクターには蛍光灯ではなく組み立て説明書が渡され、コレクターはそれに従って量販店で蛍光灯を買ってきて組み立てるというたわけたシステムです(笑)。ただし壊れたときは作品の管理財団が直してくれるそう。

これらの作品は他のアーティストの作品や建築物のオマージュになっていることもあり、フレヴィンのそれらの作品へのリスペクトを表すと言われています。でもフレヴィンはきっと「お前らの作品なんて俺がパパッと組み立てた蛍光灯と変わらん」と思ってますよ(笑)

それはともかく、圧巻は地下の展示です。

地下の大空間を使って、蛍光灯を横一列に並べた作品です。

写真でフレヴィンの作品を見て全く感動しない僕もこれには脱帽です。正直これだけでもニューヨーク滞在の半日を使う価値はあります。

 

壁に描かれた立体っぽく見える巨大な図形ソル・ルウェットの作品です。日本ではもっと小ぶりな立体作品を作ってましたが、ここではなんでも巨大になるのか、それともこのスケールが本来の形なのか?

地面にいろんな形の穴を空けちゃったのはマイケル・ハウザー。まず日本では紹介されない(できない)アーティストですね。

意味が分からなくても誰の作品かなんとなく分かる。ヨーゼフ・ボイスですね。社会彫刻というだけあって、ここではボイスが具象作家に見えます。

割れたガラスの山はランドアートの巨匠、ロバート・スミッソンの作品です。

代表作スパイラルジェッティ湖に岩、土砂、砂で作った構造物。ランドアートの意味が失われることから、この作品の画廊での写真展示を拒んだエピソードもあります。なので美術館で作品が見れるのは貴重です。

スパイラルジェッティのことを考えると、ガラスの山が島に見えてきます。

半野外にドーンと置かれているのはリチャード・セラの巨大鉄板彫刻です。

マンハッタン島に置いたところ、通行の邪魔と言われ、撤去されたエピソードもあります。ここならそんな心配もないですね(笑)

渦巻状になってて中に入っていけるものもあります。

屋内に設置されてるものもあります。絶妙なバランスで立っていますが、日本だと抗議されそう

試作品(?)も大量に展示されてます。

唯一2階に展示されているのは、ルイーズ・ブルジョワの彫刻群。

ルイーズ・ブルジョワ「ママン」

似た作品が六本木ヒルズにもあります。にしてもヒルズのは待ち合わせスポットとして活躍(?)してるのに、ディアのはポーズのせいもあって不穏な感じです。黒後家蜘蛛は交尾のあと雄を食べてしまう。なので母親はみんな未亡人・・・という話を思い出しました。

この蜘蛛だけじゃなくて、他にも悪夢めいたものが・・・。このように、一階のホワイトキューブ、野外と2階の工場空間、真っ暗な地下空間と作品の雰囲気に合わせて空間を選択しています。

その地下空間にはブルース・ナウマンの不穏な作品が・・・。監視カメラに見られているモニター内の自分を見る作品です。

ブルース・ナウマン「100生きて死ね」

ナウマンも香川県の直島コンテンポラリーミュージアムの綺麗な作品しか知らなかったのですが、こっちが本領発揮なんでしょうか?

赤じゅうたんの上に規則的に石材が置いているだけ。エントランスの正面の広大な空間を使ってこの作品を展開したのはウォルター・デ・マリア

ウォルター・デ・マリア「タイム/タイムレス/ノー・タイム」

よく雷が落ちる地域に避雷針を設置したランドアートで有名ですが、日本でもまたしても直島の地中美術館に作品が恒久設置されてます。そう考えるとあの広大な面積を使う作品も移動可能な分便利かもしれません(笑)。

最後に紹介するのは、自動車をプレスした彫刻で有名なジョン・チェンバレン謎の巨大ソファ(写真中央の白いもの。奥にもあります)も設置され、こんなところに無理やり連れてこられた子供の唯一の心のオアシスになってます(笑)。

実際、チェンバレンの作品は子供が見ても楽しいです。ロボットなど、色んな見立てが成立しそうです。

ここだけ自然光を多く取り入れた展示なのも面白いです。

「疲れたー。パパ早く帰ろうよ―」って感じでしょうか?いや、意外と楽しんでる様子。

 

ミニマムアートや現代アートも色々あるので、これだけあればどれか心の琴線に触れるものが誰にでもあると思います。それにMOMAで決まりきった作品を見るよりもこっちの方がここでしかできない体験ができると思います。リチャード・セラの作品が日本に巡回してくることはまずないと思いますし(笑)

ナンコレ度★★

 

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