資生堂ギャラリー(銀座)の「THE EUGENE Studio 1/2 Century later.」《2017年11月21日(火)~12月24日(日)》を見てきました。
資生堂ギャラリーは1919年にオープンした現存日本最古のギャラリー。2001年には現在のホワイトキューブ形式の展示室を整備し、銀座で有数の展示環境を獲得しました。ただ天井が高いだけでなくそれを生かした展覧会の開催も熱心です。例えば今年初めには吉岡徳仁さんのプリズムの展示がありました。
さて、今回の展示は50年前1968年に思いを馳せ、「あれから半世紀」に思いを馳せる展覧会です。
1968年は映画『2001年 宇宙の旅』や、SF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が発表された年。日本ではベ平連が活動していた政治の季節でした。
それにちなんで、会場では『2001年 宇宙の旅』のラストに出てくる真っ白な部屋が焼け焦げたインスタレーション作品を展開。
改めて比べてみると、かなりの再現率ですね。
展示ケースもキーファーみたいでかっこいいです。
ホワイトキューブ空間だからこそ映える作品で、かなり見入ってしまいました。食事がそのまま残っているのは、ポンペイ遺跡の火山のような突然の災害を思わせます。
この「Beyond~」に相対する位置に展示しているのが、「White Painting」です。
この何も書かれていないカンヴァスに接吻するという作品は、技術や物質としての絵画を越え、考えやアイデアが価値を生むという発想に基づいています。
「2001年宇宙の旅」ではボーマン艦長が思想的に人類より高次元に進化したスター・チャイルドに進化を遂げます。今回の展示でも、前室の焼けただれた家具によって物質文明に別れを告げ、次室の接吻絵画で思索としてのアートに触れるという進化が表現されています。
同時に破壊されたものを家具だけでなく展示室であるホワイトキューブに拡大すると、2001年に改修して獲得したホワイトキューブという展示空間を卒業し、新しい展示方法を模索すべき、という深読みも出来ます。
美しいだけでなく、色々なことを考えさせられる展覧会でした。ナンコレ度★