2018年6月19日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★内側からみたNY論!アートの入り口「アメリカ編」

河内タカさんの「アートの入り口 アメリカ編」を読みました。

 

以前「アートの入り口 ヨーロッパ編」を紹介しましたが、今回はアメリカです。ちなみに表紙はエドワード・ホッパーの「早朝の日曜日」ホッパーは「ナイトホークス」が好きなんですが、朝もいいですね。ただの床屋の看板が何故か暖かみを感じます。

エドワード・ホッパー「ナイトホークス」

 

日本人はヨーロッパの近代以前のアートが大好きなので、アメリカのアートは国内でほとんど紹介されていないといってもいいぐらいです。知名度があるのは本書にも登場するアンディ・ウォーホルジャクソン・ポロックぐらいでしょうか。

 

「The Velvet Underground & Nico*Femme Fatale」バナナの部分がシールになっていて、剥がすとピンクの実が現れる。
 The Rolling Stones 「Sticky Fingers」ジッパーは本物で、空けると白いブリーフとウォーホルのロゴが見える。

ウォーホルはカラフルな版画作品が有名ですが、元々広告業界の人でそのころの作品はキレキレですね。

 

アメリカ美術の紹介者もマークロスコジョゼフ・コーネルフランク・ステラバネット・ニューマンなどの優れたコレクションを持つDIC川村記念美術館があるぐらいです。

なので本書はアメリカ美術が無限のフロンティアであることを知る良書だと言えます。ロバート・ゴーバーゴードン・マッタ=クラークはもっと国内で紹介してほしいですね。

ロバート・ゴーバー 本物そっくりの足が壁から生えている。美術館の構造自体をからかった作品

ゴードン・マッタ=クラーク 家を切断したり、切り取ったりといった作品を多数制作

 

 

さて、著者の河内タカさんは長年ニューヨークに住んでいた人で、本書は河内さんの回顧録としても読めます。現在もアート界を牽引しているニューヨークのアートシーンを生で体験した生き証人です。

なので例えばセントラルパークにゲートが大量発生したイベントや

クリスト&ジャンヌ・クロード「The Gates」

フェリックス・ゴンザレス=トレスの広告も生で見ているわけです。

フェリックス・ゴンザレス=トレス 亡くなった恋人を思う広告を町中に設置

 

またアメリカ社会について言及したアーティストも多く紹介されています。こういう作品は背景を知っていないと良さが分かりませんものね。

ナン・ゴールディン「性的依存のバラード」ナン自身を含む友人たちの性と麻薬の依存が赤裸々に語られる写真集

 

 

建築好きとしては建物や街の景観について多く言及されているのも嬉しいところです。ハイラインやブルックリン橋、クライスラービルなどは当然観光ガイドにも載っていますが、できれば歴史的背景を勉強してから見に行きたいものです。

ジョエル・スターンフェルド「ハイラインを歩きながら」ハイラインの景観保存に大きな力を発揮した写真集
ウォーカー・エヴァンス「ブルックリン橋」
マーガレット・バーク=ホワイト クライスラービルの上からの撮影
 
ジェイムス・ケイスベア 模型を作ってそれを写真に撮っています。

 

ロバート・コッティンガム 都市の看板などを拡大して描いています。

リチャード・エステス 都市のスーパーリアリズムで都市を描く。人工物の冷たさと光の暖かさが両立してます。
ラルフ・ゴーイングス 同じくスーパーリアリズムですが、ダイナーばかり描いています。
エド・ルシェ ロサンゼルスのサンセット大通りの建物の写真をすべてつなぎ合わせた本

 

映画まで紹介されているのも面白い点です。パリにおける「アメリ」のように映画が都市の魅力を伝える力は侮れません。

 

ウッディ・アレン監督「マンハッタン」

 

アメリカ現代美術家のカタログとしても読めますが、NY生活者の生の声が反映されている点が単なる入門書と異なる点です。ナンコレ度★

 

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