新宿のビームスジャパンで開催中の「森山大道 写真展 『あゝ、荒野』」を見てきました。
映画「あゝ、荒野」の公開に合わせて、新宿をテーマにした森山大道氏の作品の展覧会です。
去年、今年と早稲田大学演劇博物館では新宿をテーマにした展覧会が開催されました。
また新宿歴史博物館では新宿副都心をフューチャーした展覧会が開かれるなど、新宿は様々が文化が生まれる土地です。
現在も新宿では新宿クリエイターズフェスタが行われており、常に何かしらのイベントがやっている印象です。
僕も見に行きましたが、カーテンウォール越しに見る河口洋一郎氏の作品はかなり新鮮でした。
中沢新一氏の「アースダイバー」によると、新宿の低地帯(歌舞伎町など)は昔川底だったそうで、江戸時代以降は身分の低い人が住み着いたそうです。一方隣の高地帯(新宿伊勢丹辺り)は武家屋敷で、両者の文化が混ざり合って独自性が生まれたとのことでした。
このようにあらゆるものを飲み込む新宿ですので、今回の展覧会でもその混在具合が面白く思えました。
そういえば会場のビームスジャパン自体が新宿駅前の飲み屋街に突如として出現した高級店です。
その中で特に印象的だったのが東京都庁の写真です。
丹下健三氏の代表作である東京都庁はノートルダム大聖堂を引用した形状と、江戸自体の格子模様とも集積回路ともいわれる微細な表面処理が特徴です。しかしここでは森山氏の特徴である粒子の粗い表現によって、ディテールは消去されています。
それによって都庁はひたすら黒く巨大にそびえたち、都民を圧迫します。建築のディテールの重要性を認識するとともに、現在の都政にはむしろこの森山氏の写真の都庁がふさわしいとも思えました。
★★