10月28日、29日開催の生きた建築フィスティバル大阪2017(通称イケフェス)に関連して、その周辺の建物を引き続き紹介します。中にはイケフェスとは関係ないものもありますが、そこは外見だけでも一見の価値ありと判断し掲載しました。
端正な感じのすっきりしたデザインや角のアールは山田守氏の建築を髣髴させます。1階のショーウインドウや8階の「ガスビル食堂」では家庭でのガスの普及を進めるため、モダンな生活をアピールする狙いがありました。そういった志がデザインからも伝わってきます。
ビルの中央を貫く中庭は竣工当初は馬車などの搬入口兼居室内の採光や換気の機能がありました。今日ではこの空間がインスピレーションを生むらしく、デザイナーなどクリエイティブな会社が入居しているそうです。小規模な改造で時代にあったニーズに対応するという好例です。
竣工から25年もたつのに、未だに強く未来を感じさせる世界的に見ても稀有な建築です。高層部だけでなく低層部や内観も設計者の原広司のデザインが溢れています。さらに展望台内にはピラピッドから未来の宇宙移住までの高層建築の歴史が展示されており、建物全体が原広司美術館の様相を呈しています。
単に「吸気塔」と画像検索してもコレしか出ないほどで、「吸気塔=梅田」といっても過言ではありません。村野藤吾氏の建築の中で最も有名かも。一見ホヤのような生物的なデザインですが、潜水艦のシュノーケルのようにも見え、まさに「呼吸」を視覚化した感じです。
神戸、横浜など日本には水都と呼ばれる都市は事欠かないのですが、だからといってそれをここまで直接的に表現したものは他にありません。地下街に川を流すのはエネルギー的にも売り場面積的にも大変もったいないのですが、そこを力技でやってしまうのが大阪らしいです。
ちなみに梅田の地下街はかつてSF作家の堀晃氏が小説にしたほどの迷宮です。
最近はかなり改善されたようですが、この地下街自体も濃い大阪体験になりそうです。
実は植物はビル内から管で水や肥料を得ており、意外とハイテクなビルです。植木鉢の形もバリエーションに富んでおり、生物的なデザインを助長しています。内装も南国風です。
独特なシルエットから夜は幽霊屋敷と思われていたそうです。職人さんの気難しいイメージをむしろ強化しそうなデザインです。外観は平瓦、内観は大理石全面張りとお金がかかっており、ますます玄人好みのビルです。
ある意味もっとも大阪らしい建物です。映画「ブラックレイン」の世界観を感じます。
社内の営繕課が独自にデザインしており、「どや建築」でありながら表現は一流です。時代に合わせて内装も入居店舗もどんどん変化しており、ノスタルジーを感じさせながら機能は古びないというのが素敵です。
「フランス国会図書館」で有名なドミニク・ペローの設計。ペロー氏は都市的な規模の作品が多い印象です。今作でも周囲の景色が複雑に移り込むカーテンウォールに加えて、地下街とつながる空間でも周囲の環境と対話を意識していて設計されています。
安藤忠雄氏の初期の建築で、彼の作品が個性を放っていたころの貴重な遺産です。狭小な空間に鉄砲階段、周囲の環境を完全に遮断するコンクリート壁と、良くも悪くも安藤建築を構成する重要なパーツが見られます。
仁王門のトラス構造むき出しのデザインは大阪万博の大屋根のようでもあり、
またウルトラセブンに出てくる宇宙船のようでもあります。
お寺はかつては本来最先端の文化と技術を伝える役割を担っていました。この仁王門もデザインも新しい信仰の形の表現の一形態とも受け取れます。
ナンコレ度★★★★