渋谷区立松涛美術館にて開催中の「三沢厚彦 謎の館 アニマルハウス」(2017.10.7-11/26)を見てきました。
松濤美術館は白井晟一設計です。白井晟一といえば
こんなのや
こんな建物で有名な非常に閉鎖的で、経済合理性に反した建物で有名です。
松濤美術館も
・作品搬入用の入り口がないので、通常出入口(一番初めの写真)の大きさ以上の作品は展示できない
・建物中央の吹き抜け(というか建物自体がドーナツ型です)のせいで、建物の規模の割には展示室が狭い。
・その展示室も自然光が一切入らない設計
と問題だらけで、白井氏は美術館を設計する気が無かったのでは?と思えてきます。
しかし美術館スタッフの努力により、困難を逆手にとって(?)毎回独特の空間演出をしてくれる美術館でもあります。
今回の展覧会は三沢氏の巡回展をというところから発展して、松濤美術館のサロン的展示室を利用して、仲間のアーティストと観客を自邸に招くという設定になっています。
左から浅田政志氏、杉戸洋氏、三沢厚彦氏、小林正人氏、舟越桂氏、となっています。
10/7のトークではこのメインビジュアルについて色々お話があり、衣装を三沢氏が用意した(三沢氏がミッフィー、杉戸氏がクラフトワーク、小林氏がボブ・ディランのシャツを着ています)こと、各氏をイメージした動物が近くにいることなどが語られました。浅田氏は違った視点から展覧会を演出するという意味でキリン、杉戸氏は会場構成で調和をもたらしたことから和みの小動物の近くに。小林氏は野獣だそうです(笑)
エントランスではシロクマがお出迎え。中の展示もシロクマが複数いましたが、好きなモチーフなんでしょうか?
この作品のみ撮影OKとのことでした。
展示室は地下1階は三沢氏の作品棚が置かれており、杉戸、小林両氏の制作中のキャンバスが立てかけられており、会場設営中のような独特の雰囲気を漂わせています。三沢、船越氏の作品に不協和音をもたらしており、空間として非常に面白くなっています。
変わって2階では同じく作りかけの作品が置かれていますが三沢氏のセレクトした音楽がかかっており、小品がいたる所に置かれて祝祭的空間になっています。
またエレベーターホールには浅田氏の肖像写真が白井晟一氏特注の鏡にはめ込まれていたり、階段途中にも作品が置かれていたり、美術館全体が三沢氏に乗っ取られたようでした。
松涛美術館はグループ展の面白さをいつも引き出してくれます。ナンコレ度★★