TERRADA ART COMPLEXで開催中のAsian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA ファイナリスト展(2017.9/23-10/29)を見てきました。
5組中4組までが映像作品というのが意外でした。とはいえ難解なドキュメンタリー作品ではなく、とっつきやすい作品が多かったです。
コンタクトゴンゾは2017年冬のワタリウム美術館での展示でも観客を微妙な気持ち(笑)にさせてくれる展示を展開しました(ワタリウムの展示はそういうことが多いですが笑)。
今回の展示でも倉庫の中にさらに天井の低い仮設小屋を作り、その中に複数の作品を展示するというインスタレーションスタイルです。
小屋内には制作に用いた資料(?)や寝袋が展示されています。
映像は相変わらず意味不明なチープなもの。ただ今回は・・・
こちらの業務用超強力扇風機により会場内は台風状態です。そして横にはなぜかガラクタを詰めたガチャガチャ。
宇宙空間での災難の映像やベニヤ板に描かれた絵、強風、寝袋というキーワードから考えて、作者は極限状態についての考察を具体化したかったのだと思われます。
山本氏は元小学校の教師ということで、子どもを取り込んだ作品が多いです。
今回の展示は体育館で並べられた段ボールが突然動き出すという作品です。
映像の最後では段ボールから児童が出てきます。
段ボールは40個あり、昔の1クラス分です。1、2、4と段ボールは徐々に連結され、そのまま児童は移動を強いられます。
移動の混乱さにも関わらず児童には徐々に連帯感と協調性を身につけ、演技(?)もスムーズになります(というように見ていて感じました笑)。1クラスを通して、社会について色々考えさせられる作品でした。
なんだか日常系のアニメを髣髴させるタイトルです(笑)
作品は路上、交差点、公園、仕事部屋、リビングの5か所を定点観測している作品です。なにも事件は起きませんが、ただ人物は日用品、食品などが強引に人体を形成したものにすり替わっています。
こちらは仕事部屋。頭がお茶のペットボトル、腕がハケ、ボディは缶詰になっています。
人物(?)が去ると卓上に同じ製品が置かれていることが分かり、ますますシュールです。
時代劇を見るハケ。腕はバナナです。
こちらは公園。ずっと見ていると一日朝昼晩と作品内でも時間が立っているのが分かります。そして翌日には・・・
パーツの構成が違う人物(?)が現れます。
これらの作品を見て思い出すのは筒井康隆氏の「虚航船団」です。
この小説では文房具たちは戦争を強いられますが、谷口氏の作品内では日用品たちは無限に続く平和な日常を生きています。物語性を剥ぎ取られると、残るのは、モノそのものが持つ美しさだけです。
実際の作品を見ると、日用品や果物は非常に美しいCGで絵が描かれています。作者は作品に取り込む製品を選ぶとき、その普遍的デザインに着目したはずです。日用品の日常を通して思いがけない美を発見した思いです。
ちなみにこちらが作者さんのHPです。
スペースは狭いですが、作品は誰でも楽しめるものが選ばれているのは好感が持てます。ナンコレ度★★★