東京画廊+BTAP(銀座)の高明根「A blending space」《2017.11.2 (thur) – 12.30 (sat)》を見てきました。
会場に入ると多数のガラスケースが壁に貼りつく、ちょっと異様な光景です。
高さんは建物の写真のフィルムを透明プラスチックに貼り付け、それを立体的に組み上げる手法で作品を作っています。
写真を立体化するといえば、フォトモで有名な糸崎公朗さんがいます。
糸崎さんは建物や街歩きの魅力を伝えるために、写真を使ったペーパークラフトをデザインしています。建物の形状をそのまま立体化するのではなく、遠近感を大げさにするなど、よりそれっぽく見えるように組み上げるのが特徴です。
一方、高さんは建物の再現が目的ではなく、建物の内観、外観の写真を使って全く新しい空間を創造することです。
こちらの作品は階段の写真だけで建物を組み上げています。
階段がメインの建物といえば安藤忠雄の「大阪府立近つ飛鳥博物館」や原広司の「京都駅」がありますが、
高さんの作品は「階段だけが無限に続く」というSF小説に出てきそうな建物空間が実現しているのが面白いです。
こちらの作品は銀座という街にふさわしい、広告ディスプレイが他の建物に映り込んでいる光景を髣髴させます。
現実の建物でも、設計のレンゾ・ピアノ設計の「メゾンエルメス」などは銀座のネオンの映り込みを狙ってデザインされてます。
手前はバス亭のようですが、後ろはカーテンが降りた学校のようです。少子化で学校は全国的に閉鎖が相次いでおり、建て替えが激しい東京の現状を思わせます。
都市の重ね合わせはチャイナ・ミエヴィルの小説「都市と都市」も思い出します。
3段構成のコントラストが美しい作品。
一番気に入った作品です。4面のうち、一面だけ南国の樹木と青空が写っており、それが他の3面と奇妙に融合しているのが美しいです。
トタンの屋根が半透明になっているのも面白いです。
別室では箱の中に女性を閉じ込めた(?)作品もありました。
見る角度によって女性が2人にも3人にもなり、ますます幻想的です。丸い窓も近くの中銀カプセルタワービルみたいでSF的。
映り込みや角度によって建物が刻一刻と変化するのは、建築を映画と見なしたジャン・ヌーヴェルとも通じます。
建築好きに取って色んなことを考えるきっかけになる刺激的な展覧会でした。ナンコレ度★