大阪市中央区東心斎橋のガレリア・アッカを見てきました。
設計は安藤忠雄さん。1988年竣工で、安藤さんが大規模建築を作るようになる直前くらいです。
場所は大阪中心部の繁華街。小さな居酒屋が密集してるような場所です。
安藤さんの狭小住宅といえば住吉の長屋が有名ですが、間口はそれに負けないほどのウナギの寝床です。
ほとんど切り込みみたいな入口を入るとさらに狭い廊下。しかしここで既に上下の広がりをアピールしてくるとは流石安藤さん。
敷地は横に狭く、逆に縦と上下にはかなり余力がある。
そこで安藤さんが考えたのは横方向の狭さをむしろ強調することで縦と上下の広さをアピールすることでした。
計画は敷地の道路面と最奥だけに店を設け、真ん中は階段、廊下とエレベーターを配置。
面白いのが廊下や階段が入り組んでいるせいで、エレベーターがあるにも拘らず、ほとんどの店舗はそこから階段を上り下りしないとたどり着けなくなっていること。のちの安藤建築の迷路っぷりがこんな小さな作品でも体験できるとは!
各部屋間は廊下や階段を使わないと行き来できない・・・という点も住吉の長屋を思わせます。
実際これはガラス屋根こそついてますが、店舗版住吉の長屋です。
このような演出のせいで、何でもない最下部の廊下も階段もないところがすごく広く感じます。もちろん勘違いですが(笑)
一方で店舗の建物中央の吹き抜けに面した部分は非常に開放的で、人を招き寄せるのに好都合な設計です。
売り場面積は削るが、売り上げは削らない、そんな安藤さんの大阪商人根性が透けて見えます。
ちなみに依然見たビデオでは最上階はギャラリーとして活用されていましたが、2019年に訪問時は閉鎖されていました。
是非ここの眺望も味わいたかったのに残念です。
ともあれこんな狭小店舗なのに築30年でもちゃんと入居者がいるのは立派です。
コンセプト倒れの建築家が多い中、安藤さんの建築はちゃんと活用されているものが多く、後の飛躍も納得です。★★
なんだかんだで人気★★「安藤忠雄初期建築原図展」 – 博司のナンコレ美術体験2019年8月21日 9:35 PM /
[…] 住吉の長屋といい、安藤さんは縦長の狭小住宅が得意なのかもしれません。 […]