• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★玄人向けの展覧会「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」

森美術館(六本木)の「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」【2018.4.25(水)~ 9.17(月)】を見てきました。

2011年の「メタボリズムの未来都市展以来7年ぶりの森美術館の建築展です。
個人的には同展は森美術館の展覧会で一番面白かった展覧会で、かつ過去に見た建築系展覧会でも最も好きな展覧会でした。なので期待していったのですが・・・
丹下健三「自邸」

丹下健三の自邸の巨大模型や・・・

千利休「待庵」

千利休の茶室の実物大体験など、最近建築展ではやりの体験型展示が複数ありましたが・・・

二川幸夫「日本の民家」

テーマが大きすぎて「色々あったけど印象に残るものはない」という感じでした。

雑誌や書籍の研究成果の紹介も多く、非常に玄人向けの展覧会という印象です。

前田健二郎「京都市美術館」

各建築の評価も定まっているものをなぞっているだけということが多く、新味に欠けました。いわゆる「帝冠建築」をまっとうに評価してるのが新しいぐらいです。

 

アトリエワン「恋する豚研究所」
SONY DSC
山﨑健太郎「52間の縁側 」

若手建築家の作品も多少紹介されており、このあたりは非常に良かったです。

福祉や高齢化社会に対応した建築で、展示も建築というより地域コミュニティの形成を紹介するのが主でした。

齋藤精一+ライゾマティクス・アーキテクチャー「パワー・オブ・スケール」

もっとも良かったのはこちらの作品。スケールをテーマに歴代の名建築を紹介しています。

映像の中に入って空間を体験できる作りです。

 

部分的に良い点もありましたが、全体として玄人向けの仰々しい展覧会でした。テーマの「建築の日本」も「あれもこれも日本」という展示内容で、おそらく見た人は混乱されるのではないでしょうか?壁に書かれている建築家の名セリフみたいなのも一般のお客さんは必要ないと思います。建築マニアの自己満足に思えます。★

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