• 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

伝わらない全体像「アルヴァ・アアルト――もうひとつの自然」

アルヴァ・アアルト(1898-1976)はフィンランドの建築家・デザイナーです。その建築作品は母国と、西洋諸国の一部にしかないにも関わらず、日本では非常に知名度のある稀有な作家です。これはムーミンなどの北欧作品の人気、木造住宅という共通点、手作り的発想への共感などの原因が考えられます。
アルヴァ・アアルト「ヴィープリの図書館」
建築作品についてはヴィープリの図書館パイミオのサナトリウムについて、展覧会冒頭で詳しく紹介されていました。
アルヴァ・アアルト「パイミオのサナトリウム」

特にサナトリウム(つまり療養所のこと)については病室の一室をアアルトデザインの家具を用いて再現するなど、力を入れて紹介していたのですが・・・

建物全体の紹介があまりないので、イマイチどのような建物なのか伝わりませんでした。上質の写真作品などを使って建築の素晴らしさを伝えようとしているのですが、一部にフォーカスし過ぎ、理想化し過ぎに感じました。無菌室的な清潔感を覚えます。

 

フェルナン・レジェやジャン・アルプなどアート作品とのコラボも予想通りにキレイにハマり過ぎており、何も予想外のことが起きないという人工的な平和さを感じます。

 

その他、家具の展示はかなり力が入っていました。アアルトの家具は素朴で値段もお手軽なのは好感が持てます。ただiittala他の露骨な企業とのタイアップには閉口しましたが。なぜ交通費と入場料を払ってまでIKEAのショールームに入らなくてはならないのか・・・

アルヴァ・アアルト「ニューヨーク万国博覧会フィンランド館」

後半の展示ではニューヨーク万国博覧会フィンランド館の特集展示が良かったです。写真から空間をCG動画で再現しており、唯一建物全体を把握できた展示でした。

アルヴァ・アアルト「フィンランディアホール」

後半の展示ではいくつは面白そうな建物はあったのですが、はやり全体像は掴みにくかったです。

 

全くつまらない展覧会というわけではないですが、都内から時間とお金をかけて観に行くには少々厳しいと感じました。


会場
葉山館 展示室 2・3
会期
2018年9月15日(土曜)~11月25日(日曜)
休館日
月曜日(9月17日、9月24日、10月8日は開館)
開館時間
午前9時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
観覧料
一般1,200(1,100)円 20歳未満・学生1,050(950)円 65歳以上600円 高校生100円

 

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