2018年10月17日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

★★現代の魔術師たち「2018年のフランケンシュタイン ​」

バイオアートの展覧会です。雑誌「美術手帖」で特集が組まれたりしても、日本におけるバイオアートの受容はまだまだ少ない気がします。
今回の展示では国内外のバイオアート周辺の作家が集まっています。
AKI INOMATA「girl,girl,girl・・・」
入口横ではAKI INOMATAの作品が2つ見れます。

「girl,girl,girl・・・」は女性の洋服を切り刻み、ミノムシに与えて着飾らせるというもの。

民族衣装のような非常にカラフルな服を見事に着こなしています。

AKI INOMATA「やどかりに「やど」をわたしてみる」

INOMATA氏のトレードマークであるヤドカリの展示も。

今回のヤドカリは大変元気でサービス精神旺盛でした。

 

平野真美「蘇生するユニコーン」

入って始めの部屋でインパクトを放っている作品。

伝説上の生き物=生まれていもいないユニコーンを復活させるとはどういうことなのか?

平野氏は単にユニコーンのぬいぐるみを作成しているのではなく、骨格、臓器、血液などを部位ごとに制作し、ユニコーンを一から作り出すことを試みています。

バイオアートの文脈からすると科学技術の万能さを謳歌しているような話ですが、薄目を開けた不気味なユニコーンからはそのようなものは感じません。

「蘇生」というより「延命処置」といった趣です。

一連の装置からは禁忌近畿に触れてしまったような不穏さが漂っています。

 

マーク・ダイオン「タール漬けの鳥」

それに比べるとマーク・ダイオンの彫刻はなんだか牧歌的に感じます。

環境問題への直接的抗議ですが、滴るほどにたっぷりと、見事にタールでコーティングされた鳥はむしろ滑稽に感じます。

マーク・ダイオン「容器に詰められたタールと白い破片」

もう一つの作品もタールと彫刻を組み合わせたものです。

タールに溺れる人々・・・と思いきや、人体はパーツごとにばらばらになり、天使や昆虫、ぬいぐるみやポケモンみたいなのもいます。

スケール感もバラバラで、「ゴジラVSヘドラ」的なやり過ぎ感が漂います。

 

ヘザー・デューイ=ハグボーグ「ストレンジャー・ヴィジョンズ」

奥の部屋にはもっと深刻な作品が展示されています。

いきなり3つのリアルなマスクが掲げられています。

その下には・・・

シャーレに入ったタバコの吸い殻、髪の毛、チューインガムのカス。写真はその採取場所です。

これらからDNAを抽出し、性別、人種、外観などのあらゆる個人情報を盗もうという作品です。

 

バイオアートというクリーンで新しいイメージとは裏腹に、表参道の一等地でこんなショッキングな展示を見ることになるとは思いませんでした。保守的な日本ではこんな展示が見れるのは貴重な機会かもしれません。★★

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