2019年5月27日
  • 日々観た展覧会や関連書籍の批評をしていきます。

建築図鑑121★★★誰でも理解できるポストモダン「愛媛県総合科学博物館」

愛媛県新居浜市の愛媛県総合科学博物館を見てきました。

設計は黒川紀章氏。

場所は愛媛県新居浜市の郊外である山の中腹。

山道を登っていると唐突に巨大な円錐が現れる。

建物の形状は非常に特徴的。円錐、立方体、球、円弧などの形がランダムにゴロゴロ並んでいます。こんな建築国内ではここだけではないでしょうか?

雑誌「新建築」より

平面図を見てもかなり謎めいた形状。

子供が散らかした積木を建築化したよう、とは「ポストモダン建築巡礼」の評です。

土地の歴史と何の脈絡もないイメージを投げ込んだ建物をポストモダン建築といいますが、この建物も抽象的な形状のオンパレードです。

一方単に幾何学的な形状を並べるだけでなく、立体を歪ませたり、表面の仕上げを様々に変えたり、ランダムに開口部を設けるなどの手法は非対称性や不完全性が日本独自の文化だと主張する黒川氏の理論に基づくものです。

そういうわけで、外観の見どころは建物の形状と仕上げの多様さにあります。

この円弧の形をしたレストラン棟は白大理石打込み打ち放しコンクリートです。

同じく円弧状の生涯学習棟は黒花崗岩打込み打ち放しコンクリート

これらは太陽光に反射して様々な表情を見せます。

そして立方体を基本としたメイン展示棟はチタンチップ打込み打ち放しコンクリート

になっています。打ち込まれたチップの形状も最新数学のフラクタル幾何に基づいて決定されているそうです。

他に多目的ホールはアルミ貼り、生涯学習棟のと接続部はミラーガラスなど、様々な形状と素材が楽しめます。

橋を渡った先の立体駐車場も黒川氏の作品。白いラインはナスカの地上絵を表しているそうです。

内観においても外観の特徴的な形状が内部にも表れており、個性的な空間になっています。

円錐は黒川氏のトレードマークですが、本建築では相当巨大化しており大迫力です。

この円錐はエントランスであると同時に、展示棟からスロープを降りて戻ってくる動線にもなっています。

この円錐で面白いと思ったのが、内外を貫通している巨大な屋根です。

 

また円錐の底面には太陽系の軌道が6000憶分の一のスケールで描かれています。

地球は地下部分に描かれています。

この地下部分から廊下を通ってプラネタリウムに入るというルートになります。

この廊下の上は池になっており、池を通して空を見ることができます。

 

4階建てのメイン展示室の内部。廊下部にもいろんな形が溢れていて面白いです。

ランダムに開けられた開口部からは石鎚山と幾何学図形のコラボが楽しめます。

2階産業館。地元の科学技術がジャンル分けされて紹介されています。

YOY「CANVAS」

3階科学技術館に展示されてた座っているように見えない椅子。

キャンバスに布を印刷し、座椅子の辺りの裏に丸太を通しただけのもので、意外と座れるが、見た目は座っているように見えないのが特徴だとか。

4階自然館。この2体の恐竜ロボットは15分ごとに咆哮しながら動きますが、空間演出が全くされていない現代建築の中で暴れる恐竜はかなりシュールで、完全に映画ロストワールドの世界。特にティラノサウルスは部屋のギリギリの高さまで動くので違った意味で迫力があります。

 

 

その分かりやすさから建築界の受けはイマイチですが、地元の子供には大いに受けているようです。

ポストモダン建築としてだけでなく子供向け建築の傑作として黒川氏のサービス精神が伺えます。★★★

コメントを残す